「政治が分からない」

 もう遠い昔だが、1人暮らしの大学生の頃、20歳になったのを機に世の中をもっと知ろうと新聞を取り始めた。やがて国政選挙が近づき、何が争点なのかと新聞を日々めくり続けた▲と書けば、さも勉強熱心だったかのようだが、実際は政治記事を読んでも知らないことだらけで、すっと頭に入らずにいた。うーん、政治が分からない…▲先ごろ、選挙の啓発活動などをしている県の「明るい選挙推進協議会」の会合に出て、こんな往時を思い出した。会合では、おととしの衆院選で「投票を棄権した理由」を尋ねた全国アンケートの結果が示され、18歳から20代までの理由の上位に「政治が分からないから」というのがあった▲政策や候補者の違いが分からない。よく分からない以上、投票しない方がいい、ということらしい。無責任な投票はしたくない、とも取れる▲若い層に限らず、大方の選挙で投票率の低下が著しい。あらかた「政治への切実な願いがない」「投票に行くのが面倒だ」「大勢は決まっていて、自分の1票に意味はない」といったところだろうか▲「1票の重み」を語り続けることが欠かせない。加えて「分からないことには触れない」傾向をどうするか。言うに及ばず、分かる選挙、見える政治にしていくほかないのだろう。倦(う)まずたゆまず、と心して。(徹)

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