梶田所長「アジア圏の観測拠点に」 かぐら完成式典

運転開始のボタンを押す梶田東京大宇宙線研究所長(右)と宮園東京大理事・副学長=飛騨市神岡町

 宇宙から届く「重力波」を観測する大型望遠鏡「かぐら」が富山、岐阜県境に近い同県飛騨市神岡町の神岡鉱山地下に完成し、東京大宇宙線研究所が4日、現地で記念式典を開いた。所長を務めるノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章さん(60)=自宅・富山市=は「アジア圏の観測拠点としての役割を担っていきたい」と意気込みを語った。

 かぐらは同研究所が中心となり、2010年に建設を開始。今年6月に完成した。富山大も部品の設置などで協力した。

 記念式典には、梶田所長や富山大の齋藤滋学長ら関係者約50人が出席した。梶田所長と東京大の宮園浩平副学長がかぐらの運転を開始させるボタンを押し、装置が作動する様子がモニターに映し出されると、会場から拍手が沸き起こった。

 年内に本格稼働し、ブラックホール同士が合体した際などに生じる重力波の観測を目指す。梶田所長は「ようやく完成を迎えたが、まだまだ道半ば。本格的な観測ができるよう最終調整を頑張っていく」と話した。

■米・欧チームと協定に調印  富山市のANAクラウンプラザホテル富山では4日、かぐらと欧州の重力波望遠鏡「VIRGO(ヴァーゴ)」、世界で初めて重力波を観測した米国の「LIGO(ライゴ)」のチームとの研究協定調印式が行われた。

 今年中をめどに共同観測を始める予定。地理的に離れた3地点で観測することで、重力波の発生源を特定できると期待される。

 VIRGOのヨー・ヴァンデンブランド代表は「かぐらは地下にあり、観測を妨げるノイズを抑えることができるため、重要な拠点になる」と期待。LIGOのデビット・ライツィ代表は「長く信頼関係を築いていきたい」と話した。

かぐら運転開始のボタンに手を置く梶田所長(右)と宮園副学長=飛騨市神岡町
完成を祝い式典前に神楽が披露された
記念式典であいさつする梶田東京大宇宙線研究所長

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