箱根山、噴火警戒レベル1に引き下げ 4カ月半ぶり

噴気活動の続く大涌谷で行われた火山ガスの定点観測(東海大理学部大場武研究室提供)

 箱根山(箱根町)の火山活動が沈静化し、大涌谷で噴火の起きる可能性が低くなったとして、気象庁は7日、噴火警戒レベルを約4カ月半ぶりに2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げた。地震や地殻変動はほぼ終息したが、町は火山ガスについて安全性の確認が必要として、大涌谷の立ち入り規制を当面継続する方針。専門家の意見を踏まえ、観光面の利用再開時期を決定する。

 同庁火山課によると、駒ケ岳や芦ノ湖付近で観測されていた微小な火山性地震が減少。8月中に計28回発生したが、9月は計8回にとどまり、「噴火警戒レベルを引き上げる前の状態に戻った」と判断した。

 地震が急増した5月18日には43回を記録し、噴火警戒レベルが2に引き上げられた同19日は74回に達していた。

 また、地下にたまっているマグマや高温の地下水の動きなどを反映した山体膨張の地殻変動が、10月に入り「ほぼ停止」した。3月中旬ごろから衛星利用測位システム(GPS)などで山の膨らみが捉えられていたが、8月下旬ごろから鈍化し、終息傾向を示していた。

 一方、火口や噴気孔のある大涌谷では今も蒸気が勢いよく噴出しており、噴気の高さはおおむね400メートル以下で推移している。地表面の温度も高いことから、気象庁は今月2日に実施した現地調査を踏まえ、「火山灰などの突発的な噴出現象に注意が必要。地元自治体の指示に従って危険な地域に立ち入らないようにしてほしい」と引き続き警戒を呼び掛けている。

 箱根山では、2015年6月に観測史上初の噴火が起き、警戒レベルは一時、3(入山規制)まで引き上げられた。レベル1に戻った同年11月以降も活動は完全には終息せず、今春になって再び活発化していた。

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