【えほんのとびら】 No.198「くろねこかあさん」

福音館書店
作:東 君平

 表紙に切り絵で描かれているのは、大きなおなかのくろねこかあさん。もうすぐ赤ちゃんが生まれるのです。

 生まれてきたのは、しろねこ三匹とくろねこ三匹。くろねこは、かあさんのおなかから切りぬかれた形で誕生。しろねこは、切りぬかれたあとのシルエットで表されています。

 のんびり屋で甘えんぼうのしろねこと、ちょっとやんちゃなくろねこ。六匹は、くろねこかあさんのおっぱいを飲み、一緒にお出かけをし、つめとぎの仕方やすずめのとり方を教わりながら、すくすくと成長していきます。

 子ねこたちのちょっと間のびした動きのくり返しが、ゆるやかな四拍子による文章とユーモラスな切り絵によって続いていきます。そして、
「くろねこかあさん やさしいかあさん しろねこさんびき すくすくそだつ くろねこさんびきすくすくそだつ」
でおはなしはおしまい。

 小さい子どもたちとゆったりした気持ちで読める絵本です。一緒に声に出して読んでみるのも楽しいですよ。

(ぶどうの木代表・中村佳恵)

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