「公共の絵、みんなで修復」 開港記念会館、油絵修復中

美術保存修復センター横浜による修復作業の様子=横浜市開港記念会館

 横浜市開港記念会館(同市中区)の1階に飾られている油彩画の修復作業を、専門家と市民が一緒に行う取り組みが進行中だ。市の地域文化支援事業「ヨコハマアートサイト」の助成を受けたもので、修復を担当するNPO法人美術保存修復センター横浜(同区)は「公共の絵をみんなの力で修復する意識を広めたい」と話している。

 修復されるのは猪瀬踏花(とうか)(1907年~没年不明)による「港内」。横浜港大さん橋付近の風景を捉えたもので、手前には釣りをする少女らの姿もあり、のどかな雰囲気が漂う。61年4月に同会館に寄贈された。

 同法人の内藤朝子さんによると猪瀬は日展やハマ展に出品経験があり、晩年は横須賀にいたらしいが、詳細不明だという。

 作品は4日に壁から下ろし、8日に木彫の額をクリーニング。額から取り外した絵の表面は、ワニスの上にほこりやたばこのやに、外気の汚れなどが付着して全体に黒ずんでいる。

 12、13日に同会館の地下1階で、前もって募集した市民ら計12人と汚れの除去作業を行う。こうした試みは初めてのことで、内藤さんは「区役所や学校などに修復が必要な絵があれば、気軽に相談してほしい。今回の取り組みがそのきっかけになれば」と話した。

 両日とも午後1時半から同5時まで見学可能。問い合わせは、同法人電話045(231)6006。

© 株式会社神奈川新聞社