豚コレラの感染拡大を警戒する動きが、県内で広がっている。県畜産技術センター(海老名市)で開催予定の豚や牛などと触れ合える催しは、主催者が中止を決定。別の畜産イベントも規模縮小を検討している。ともに不特定多数の出入りによる感染リスクを避けるのが狙いで、関係者は“見えない猛威”に神経をとがらせている。
中止になったのは、県畜産振興会などが主催する「家畜に親しむつどい」。27日に予定されていた秋の恒例イベントで、子豚との触れ合いや牛の搾乳体験、地元農畜産物の販売などが人気を集めていた。
だが、埼玉や群馬県で豚コレラの感染が判明するなど、関東でも懸念が拡大。同センターでは県のブランド豚「かながわ夢ポーク」の種豚を多く飼育しており、施設内への感染源侵入を防ぐため「苦渋の決断で中止を決めた」(同会)。
一方、県養豚協会などが湘南台公園(藤沢市)で11月10日に開催予定の「かながわトントンまつり」は、子豚の展示を取りやめる方向で検討中だ。生産者による豚肉などの展示販売をメインに据え、小学生対象の乗馬体験や養豚に関するパネル展示などに縮小する。
県は県内の養豚場に衛生管理の徹底を要請。県民向けには「豚コレラは人にはうつらず、感染した豚の肉を食べても影響はない」と呼び掛けている。