離乳食ビジネス広がる 宅配サービス・商品充実 県内

ママーノが販売する離乳食や幼児食

 働く母親の家事負担を軽減できる離乳食ビジネスに注目し、県内企業で宅配サービスを展開したり商品ラインアップを拡充したりする動きが広がっている。育児と仕事の両立を支援することで、子どもと向き合う時間を増やしたいという子育て世代のニーズに応えるのが狙いだ。(経済部・熊谷浩二)

 料理代行サービスの「mama-no(ママーノ)」(滑川市上小泉)は今月から、手作りの無添加離乳食や幼児食を宅配するサービス「moguee(もぐ~)」を始めた。県内では珍しい事業で、既に1歳前後の子どもを持つ親から注文を受けている。会員制交流サイト(SNS)で事業を発信しており、県内だけでなく、大阪や山梨などからも問い合わせがあるという。

 メニューは週替わりで、カボチャコロッケ、すり身だんごのトマト煮など5品を3千円で販売。出来立てを真空パックに袋詰めし、チルド(冷却)状態で発送する。2~3週間は冷蔵保存できるという。

 離乳食は発育段階に合わせて、食材のサイズや固さを調節する必要があり、栄養バランスにも配慮が求められる。共働き世帯を中心にメニューのマンネリ化や調理時間の確保に悩む母親が多いとされ、土肥薫代表(35)は「宅配サービスをうまく活用し、子どもと向き合う時間を確保してほしい」と話す。 

 ベビー用品大手と連携し、ベビーフード事業に参入した加工食品業者もいる。ヤマサン食品工業(射水市黒河・小杉)は2016年、赤ちゃん本舗(大阪)の依頼を受けて離乳食向けカット野菜を商品化した。昨年は初の果実シリーズ「リンゴ」を追加し、全8種類をそろえる。

 食材は全て国産。下ゆでしてあり、水洗い不要で使用できる。下ごしらえの手間を省きつつも、離乳食は手作りしたいという親のニーズを意識した。

 日本ベビーフード協議会(東京)によると、国内のベビーフード市場は13年から拡大傾向が続いている。ヤマサン食品工業の担当者は「少子化で赤ちゃんの数は減っているが、市場は安定している。家事時間を短縮できる商品を増やし、売り上げを伸ばしたい」と話した。

ヤマサン食品工業のベビーフード商品

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