「満足できる芸を」 竹ン芸 稽古始まる 14、15日 若宮稲荷神社で奉納

竹に登り、高さや竹の感触を確かめる保存会のメンバーたち=長崎市、若宮稲荷神社

 長崎市伊良林2丁目の若宮稲荷神社(大坪丈夫宮司)で14、15の両日、男狐(おぎつね)や女狐(めぎつね)の面を着けた男たちが高さ10メートル以上の青竹の上で曲芸を披露する「竹ン芸」(国選択無形民俗文化財)が奉納される。奉納を担う竹ン芸保存会(後藤清輝会長)の稽古が7日夜に始まり、メンバーは「自分たちも参拝客も満足できる芸をしよう」と掛け合う言葉が熱を帯びる。
 竹ン芸は神社の秋の大祭で奉納する神事。狐たちが竹林で遊ぶ様子を表現しており、男狐や女狐に扮(ふん)した青年と子狐に扮した子どもたちが、青竹を大きくしならせ、逆立ちや大の字などの演技を披露する。命綱なしのスリリングな技の連続に毎年、境内を埋める参拝客から悲鳴と歓声がこだまする。
 竹の高さは11メートルと10メートル、子狐用が5メートル。5日に切り出し、6日に木を組んだ土台に固定した。竹は乾燥すると折れたり、割れたりするため、稽古期間は約1週間の短期勝負。多くのメンバーが物心のついたころから親や兄弟の姿を見て芸に親しみ、動きの基本や所作が身に付いているからこそできる伝統の芸だ。
 7日、日が暮れるころ、仕事や学校を終えたメンバーたちが次々に姿を見せ、1年ぶりとなる舞台を踏み締め、竹のしなり具合を確かめた。幼少時代から出演を続ける光嶋昌也さん(35)は「10月を迎えると、不安や緊張とともに、早く登りたいというわくわくした気持ちになっていた。しっかり稽古をして、優雅な狐たちの姿を表現したい」と話す。
 大坪宮司によると、県外からの参拝客が年々増えており、今年も例年以上の問い合わせがあっている。後藤会長は「しっかり奉納をするとともに、遠方から来てくれる参拝客に満足してもらう芸をしたいという気持ちが強い。本番に向けて気持ちを引き締めたい」と気合を入れている。
 竹ン芸奉納は14日午後2時と8時、15日正午、午後3時、8時に行われる。

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