城端蒔絵を香港で発信 小原さん11日に訪問

香港で講演や作品展示を行う小原さん。左は12代治五右衛門制作の九つ組盃

 南砺市城端地域で受け継がれている城端蒔絵(まきえ)の16代目、小原好喬(よしとも)さん(40)=同市金戸(城端)=が11日から香港を訪れ、継承をテーマにした展覧会を開く。作品展示や講演を通し、歴代の技術をはじめ、蒔絵を育んできた城端曳山(ひきやま)祭や風土について広く発信する。(福光・城端支局長 湯浅晶子)

 小原さんはことし5月、天正3(1575)年から続く城端蒔絵を継ぐ「小原治五右衛門(じごうえもん)」の16代を襲名した。今回の展覧会は、南砺市出身の芸術家らが香港で、地方の伝統や文化を発信する活動の一環。

 会場には木彫刻や染色、金工など日本と香港の幅広い工芸作品が展示される。ジャンルごとにゾーンが設けられ、高岡市の鋳金家、般若泰樹さんも出品する。

 小原さんは近作など6点に加え、明治期に活躍した12代目治五右衛門が制作した「城端蒔絵九つ組盃(さかずき)」を展示。かつて婚礼など祝いの席で多く用いられた品で、「城端蒔絵が町民の生活に密着して歩んできたことを伝えたい」と話す。

 講演は13日にあり、城端曳山祭と城端地域の人々とのつながりを中心に話す。「城端の文化と自然があってこそ、今の技術がある。ルーツを紹介したい」と話している。

 12日は現地で民謡ステージがあり、南砺市の歌手、林道美有紀さんと高岡市のギター奏者、小泉こうのすけさんが出演。小原さんが麦屋節の笠踊りを演じる。

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