ツキノワグマの大量出没を受け、県警は安全を確保した上で、住宅街でも猟銃による駆除を進める方針を示した。10日、県民会館で本年度2回目の緊急対策会議があり、大原光博県警本部長が「猟友会との連携を強化し、効率的に実力行使していく」と説明した。
鳥獣保護法は住宅街での銃使用を禁止しているが、警察庁は2012年、規制を緩和する通達を出した。
これにより、緊急時には警察官が警察官職務執行法に基づき、ハンターに猟銃を使った駆除を命じることができるようになった。
ただ、県によると、県内で同法に基づく発砲命令が出された事例はない。現場の警察官が、住民の安全が確保されているかどうかの判断に迷う場合が多いという。
会議では県猟友会のメンバーが、猟銃による駆除の許可が下りなかったためにクマが移動を続け、地域に混乱が広がったケースがあったと訴えた。大原県警本部長は「現場で適切な判断ができるように本部としてサポートしたい」と語った。
県は本年度に限り、市町村に交付するクマ対策補助金の限度額を引き上げることを報告した。
現行は一律30万円を限度額としていたが、今後は目撃・痕跡情報の件数に応じて設定。0~199件は60万円、200~299件は120万円、300件以上は180万円とする。
県のまとめでは、今年のツキノワグマの目撃・痕跡情報は、9日夜時点で350件に達した。