実例もとに「いじめ予防」話し合う 小田原の小学校で教室

実際にあった事例をもとに弁護士がいじめの重大性を説いたいじめ予防教室 =小田原市立富水小学校

 学校からいじめをなくそうと、いじめ予防教室が、小田原市立富水小学校(同市飯田岡)で開かれた。5年生2クラスの計約70人が、いじめの重大性や人権の大切さについて考えた。

 教室は2018年に市立三の丸小学校でモデル的に行われた際、参観したいじめ対策の関係者から「他の小学校でも実施しては」という意見があり、本年度から4年計画で全25小学校で行われることになった。

 この日は神奈川県弁護士会所属の2人が両クラスで授業。1組では田代宰弁護士がまず弁護士の仕事として人権を守ることを挙げ、人権とは安心、自信、自由があることと説明した。

 続いて25年ほど前に県央地域で実際にあった事例を紹介。4月に転校してきた中学2年の男子生徒が1学期中に受けた▽教科書に落書きされる▽チョークの粉を机にまかれる▽記念写真の自分の顔に画びょうを刺される-など5件の嫌がらせについて、児童らは「強いいじめ」「弱いいじめ」「いじめではない」かグループで話し合った。

 グループでいじめの判定は違ったが、田代弁護士は「同じ出来事でも感じ方は人それぞれ。やっている側は大したことはないと思っても、受けた側は苦しいかもしれない」と説いた。

 この男子生徒は終業式の日、帰宅後間もなく自殺した。一瞬息をのんだ児童らに、田代弁護士は「男子生徒は学校に安心して来られたか。自由にやめて、と言えたか。これらの嫌がらせは人権を奪う行為だったのではないか」と強調。いじめをせず、同調もせず、止めることが難しければいじめられている人に声を掛けることを呼び掛けた。

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