本末転倒?月々の教育費が圧迫して、将来の進学費用が貯められない

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、夫婦共働きなのに毎月家計が苦しいという46歳の主婦。このままでは子ども3人の進学費用が足りなくなり不安だといいます。FPの氏家祥美氏がお答えします。

夫婦共働きで、二人ともフルタイムで働いています。外食はほとんどせず、一年に一度の帰省と旅行は欠かさずにしています。一応毎月貯金はしていますが、夫婦二人で働いているのに生活にゆとりはなく毎月赤字です。ボーナス分を貯蓄に回したいのですが、生活費に消えていきます。

長女は公立高校に進学しましたが、次女は私立高校になりそうです。三女は公立中学への進学を予定しています。子供は3人とも平等に大学まで援助したいと思っています。来年は次女の私立高校の学費も増えて、このままではますます余裕がなくなっていくのではと不安になっています。

<相談者プロフィール>

・女性、46歳、既婚(夫:49歳、会社員)

・子供3人:16歳、14歳、11歳

・職業:会社員

・居住形態:持ち家(戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:62万円

・年間の手取りボーナス額:80万円

・毎月の世帯の支出目安:約57万円

【支出の内訳】

・住居費:6.7万円

・食費:9万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:14万円

・保険料:5万円

・通信費:2.6万円

・車両費:2.8万円

・お小遣い:7万円

・日用品代:2.5万円

・ペット代:1万円

・その他:4万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:8万円(定期5万円、学資保険3万円)

・現在の貯蓄総額:800万円

・現在の投資総額:400万円

・現在の負債総額:730万円ほど (住宅ローン:借入額2000万円、固定金利2%、返済期間35年)


氏家:ご相談者さんが不安に感じているとおり、教育費がピークを迎えると、家計はますます厳しくなるでしょう。いただいたご家族のプロフィールをもとに、簡単なライフプラン表を作成してみました。

4年後から教育費のピークに、何年続く?

図1を見ていただくとわかると思いますが、現在は高校生・中学生・小学生の3人の娘さんがいて、3人とも今は公立に通っていらっしゃいます。

そのまま4年後を見てください。4年後には、長女は大学1年生となり、次女は私立高校の2年生に、三女は中学2年生になります。いまよりもはるかに教育費がかかることが容易に想像できますね。

ライフプラン表では、大学に通う期間をオレンジ色、私立高校に通う期間を黄色で示しています。三女の高校は公立か私立かまだ先なので分かりませんが、念のため、三女の高校も私立の可能性を考えて黄色で示してあります。すると、4年後からスタートした教育費のピークはそこからさらに6年間続くことが予想されます。

さらに三女が大学を卒業するのは、ご主人が60歳になったとき。それ以降は、一般的に継続雇用で働いても収入ダウンとなるため、それほど老後資金を貯める余裕はないでしょう。60歳以降の生活を考えると、いまある貯蓄はできるだけ残しておきたいところです。

固定費に見直しの余地アリ?

現在も家計のやりくりをがんばっていらっしゃると思うのですが、4年後から、さらに大変な時期が6年間も続くとわかると、なんとかそこを乗り越えるために、今からできる対策を取る必要性に気づくことでしょう。

ご相談者さんの家計を拝見すると、固定費に見直しの余地がありそうです。保険料、通信費、教育費の3つに注目をしてみましょう。

掛け捨ての死亡保障は見直しで安くなる可能性大

保険料は現在、月に5万円を支払っています。この保険料5万円というのは一般的に見てかなり大きな金額です。

貯蓄性の保険(終身保険・個人年金・学資保険など)に、今よりもかなり予定利率が高い時に加入して、その保険料が5万円のうち3万円以上を占めているのでなければ、見直せる可能性が高いと考えられます。

2018年4月に保険料計算のもとになる標準生命表が改訂されました。改定により平均寿命が延びたため、生命保険会社では、それ以降、掛け捨ての死亡保障の保険料を引き下げる会社が相次ぎました。また、健康診断結果がよければ保険料を割引く会社も出てきています。

ご相談者さんも、加入している保険の保障内容をよく確認してみましょう。不必要な保険や特約があればカットして、必要な保障だけを残します。ご夫婦の死亡保障と医療保障を中心に複数の保険を比較してください。合計保険料は2万円以下に抑えられるはずです。

続いて、通信費ですね。お子さんの年齢的にもスマホの契約台数が多いと思います。キャンペーンのタイミングなどを見ながら、家族全員が同じ携帯会社の格安スマホに切り替えるなど、通信費の見直しにチャレンジしてください。

公立に通う3姉妹、ピーク前の教育費は大幅カットも検討を

保険と通信費の見直しからお話をしてきましたが、実は、ご相談者さんの家庭で一番見直す余地がありそうなのが、教育費です。

現在、ひと月の教育費を14万円使っていますが、現在が教育費の一番ピークであるならともかく、公立の小学・中学・高校にお子さんが通い、3人のうち一人も受験生がいない状態で、教育費月額14万円は高すぎます。

習いごとや塾など、やらせてあげたいこともたくさんあると思いますが、いまのペースで教育費を使い貯蓄を増やせないでいると、高校や大学の授業料が捻出できない可能性があります。今から4年後には大学生と私立高校生が一人ずつ、6年後には大学生が二人と高校生が一人になります。

現在、学資保険3万円と貯蓄5万円を貯蓄していますが、これでは年間100万円。子どもひとりの教育費ピークには対応できても、2人3人とピークが重なったときには対応できず、大きく貯蓄を取り崩していくことになります。そのための貯蓄を今からハイペースで増やしていきましょう。

保険料を3万円、教育費を仮に半分にして7万円減らせたら、月に10万円の削減ができます。いまはこれくらい大胆な家計の見直しが必要です。がんばっている子ども達が、将来、本当にお金を必要としたときに困らないよう、家計を見直していってください。

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