1等米「90%超」ピンチ 19年県産、猛暑でコシに未熟粒

  2019年の県産米の1等米比率が、県とJAが目指す「90%超え」を達成するのが難しい状況であることが県内の全15JAへの取材で分かった。県産米の7割以上を占めるコシヒカリの出穂後に高温日が続き、白く濁る未熟粒が発生したためだ。検査は途中段階で、今後改善する可能性はあるが、50%台前半に落ち込んでいるJAもある。  (政治部・高嶋昭英)

 等級は味と関係ないが、JAなどによる買い取り価格に直結するため、農家の収入が減ることが懸念される。

 北日本新聞は7~10日、県内の全15JAに10月上旬時点のコシの検査状況を尋ねた。みな穂やいみず野など4JAが90%台を確保し、5JAは80%台だと回答した。

 一方、4JAは50%前半~70%台前半の低水準だとし、複数のJAが「県内全体での90%超えは難しい」との見通しを示した。富山市となのはなの2JAは「検査が初期段階」などとして回答を控えた。

 60%台だったJAは「白いもの(未熟粒)が多く、かつてないくらいに悪い」(県東部)、「等級が下がれば買い取り価格は低くなる。農家の所得に影響しないか心配だ」(県西部)と話した。

 19年はコシが穂を出した8月1日から20日間の平均気温が29.3度と過去20年間で最も高く、十分な栄養がコメに行き渡らずに白い濁りができたとみられる。 県とJAは毎年、1等比率90%以上を目標に掲げ、過去5年は90%前後で推移していた。県農産食品課は「今年はこの水準を保つのは難しい気象条件だった」と説明する。

 ただ、きめ細かく水を管理した生産者が多く、同じような気候で60%台にとどまった10年産ほどの低水準にはならないとみている。「生産者が品質を維持しようと努力した成果が出たとも言える。地域差の理由を検証し、20年産につなげたい」と述べた。

 1等米比率は、農林水産省が今月下旬、都道府県別に公表するデータで全国的な傾向が判明する見通し。

 高温による影響はわせ品種「てんたかく」には見られず、同省が9月30日に公表した8月末時点の検査結果では、1等米は94.2%だった。

【1等米比率】 農産物検査法に基づき民間の検査機関が地域ごとに玄米を検査し、米の等級を格付けする。水分の量や形など一定の基準を満たし、十分に成熟した粒が70%以上なら1等、60%以上は2等、45%以上は3等、基準を満たさない米は「規格外」となる。食味の指標ではない。

刈り取られる県産コシヒカリ=9月上旬(写真と本文は関係ありません)

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