【台風19号】マンション水没、男性死亡 川崎で川が氾濫

台風で1階部分が水没したマンション=13日午前5時45分ごろ、川崎市高津区

 12日午後8時50分ごろ、川崎市高津区溝口6丁目のマンションで、「腰まで浸水している」と1階の居室に住む60代の男性から110番通報があった。駆け付けた消防隊員が約6時間後、この部屋で心肺停止状態の男性を発見。搬送先の病院で死亡が確認された。

 現場は多摩川と平瀬川の合流点に近い住宅街。台風19号の大雨により平瀬川が越水し、周辺は広範囲にわたって浸水、男性のマンションは1階部分が水没していた。

 2007年にも25戸が浸水するなど、一帯は過去にも水害が多発している。12日も平瀬川の水位が上昇したため、市は同日午後4時半に避難指示を出し、近くの市立西高津中学校には約600人が身を寄せた。

 水没したマンション付近に住む男性は「あっという間に自宅の2階まで水が押し寄せてきた。慌てて屋根裏の納戸に避難した」と当時の状況を説明。別のマンションに住み、同様に1階の自宅が水没した女性会社員(54)は「午後9時前に避難したが、あと20~30分遅かったら大変なことになっていた。午後10時半過ぎには消防隊の救助ボートが出動していた」と振り返った。

 市によると、市内の浸水被害は約1360棟に上り、市は住み続けられない市民に対して公的住宅を一時避難用に提供することを決めた。市営住宅など空いている76戸を確保し、14日から受付を開始する。敷金・家賃は不要で、原則3カ月使用でき、最長半年まで延長可能という。

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