【MLB 優勝決定S】田中将大、今季のPS防御率は驚異の0.82 米誌は再確認「信頼したことは賢明」

ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

敵地での第1戦で貴重な勝利「ポストシーズンで成功を続けるタナカ」

■ヤンキース 7-0 アストロズ(優勝決定シリーズ・日本時間13日・ヒューストン)

 ヤンキースは12日(日本時間13日)、アストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦に2-3でサヨナラ負け。延長11回に左腕ハップがコレアに痛恨の一発を浴びた。ただ、敵地を1勝1敗のタイで乗り切り、15日(同16日)の第3戦から本拠地ヤンキースタジアムに戻ることに。第1戦を田中将大投手の快投でモノにしたことが大きかった。米メディアも「タナカを信頼したことが賢明だった」と伝えている。

 今年もポストシーズンで絶大な勝負強さを見せ、2戦2勝と結果を残している田中。ツインズとの地区シリーズでは第2戦に先発したが、このリーグ優勝決定シリーズでは第1戦に抜擢された。そして、その期待に見事に応えた。

 米国で権威あるスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」は「ヤンキースにとって、ポストシーズンで成功を続けるタナカを信頼したことが賢明だったと示された」とのタイトルで特集を掲載。ツインズに対して3連勝で地区シリーズを制したヤンキースのアーロン・ブーン監督が、リーグ優勝決定シリーズの先発ローテーションについて考える時間があったと振り返りつつ、「彼は分析が好きであるが、決断は信頼という1つの言葉で表された」と先発決定までの経緯について伝えている。

「タナカはチームが彼を最も必要としている時に本領を発揮すると示してきた。ブーン監督は彼がまたそれをやってくれると信じた。彼は木曜日の夜に第1戦を右腕に託すとほぼ決めて眠りについた。金曜日に起きた時に確信した」

 そして、試合前日の11日(同12日)に「第1戦に先発してもらう」と本人に“大役”を告げたという。

田中が残す驚異の数字「2019年ポストシーズンの防御率は0.82」

 実際の登板では、田中はアストロズの強力打線を圧倒。わずか1安打に封じ込め、反撃の糸口すら与えなかった。PS通算防御率1.32は、7試合以上に登板した投手ではドジャースのサンディー・コーファックス(防御率0.95)、ニューヨーク・ジャイアンツのクリスティ・マシューソン(防御率1.06)に次いで歴代3位。40イニング以上登板したヤンキースの投手としては、史上初の満票で殿堂入りしたクローザーのマリアノ・リベラ(防御率0.70)に続く球団歴代2位となった。まさに“歴史的な勝負強さ”を誇る。

「彼は直球を高め、スプリットとスライダーを低めに投げ、アストロズ打線のバランスを崩した。彼は18人の打者と対戦した。そのうち、初球ストライクは15球だった。タナカは今月、11回で6人の走者しか許していない。2019年ポストシーズンの防御率は0.82である」

 記事では、このように投球内容を絶賛。先発陣の陣容は、バーランダー、コール、グリンキーを揃えるアストロズが上と言われる中、田中はそのうちの一人のグリンキーに投げ勝って貴重な1勝をヤンキースにもたらした。第2戦はバーランダーが先発したアストロズに熱戦の末に敗れて1勝1敗とされたが、第3戦からはヤンキースタジアムに舞台を移す。田中は17日(同18日)の第5戦に中4日で先発することが濃厚だ。

 同誌は「残りのヤンキースのローテーションはアストロズの強力打線には分が悪いように思える。しかし、何でも起こり得る」と指摘。田中が力強く牽引する名門球団は、10年ぶりのワールドシリーズ進出をつかめるだろうか。(Full-Count編集部)

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