大台ヶ原山の紅葉|初心者でも安心の登山コースとピーク時の混雑情報 関西でも1位2位を争う紅葉の名所、大台ヶ原山。国立公園として保護されており、手付かずの自然が作り出す紅葉の景色は圧巻です。手続きなしで歩ける「東大台コース」と、事前手続きが必要な「西大台コース」の見どころスポットをまとめました。服装や持ち物、気になる混雑情報も。初心者でも安心して歩ける登山コースですので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

絶景に感動&スリル体験も!?大台ヶ原山の紅葉の見頃は?

(大台ヶ原の秋の紅葉)

奈良県と三重県の県境に位置する大台ヶ原山は、日本でも降雨量の多い山域。日本百名山にも選定されており、豊かな雨が作り出した原生林の中、自然の生命力に触れることができる山です。

手付かずの自然が生み出す圧巻の紅葉!

(大台ヶ原の秋の紅葉)

大台ヶ原山は環境省が指定する国立公園で、山全体が特別保護地区にも指定されています。守られたあるがままの自然は山深く、秋に山一面が美しい紅葉で彩られる様は圧巻。その光景を一目見ようと、毎年多くの登山者や観光客が訪れます。

スリル満点!?断崖絶壁を覗き込める、大蛇嵓(だいじゃぐら)

(大蛇嵓の紅葉)

頭を上げた蛇に似た形をしている「大蛇嵓」が望める展望台は、大台ヶ原山の絶景ポイントの1つ。高低差1,000mの渓谷に、一際目を惹く大蛇嵓が飛び出しています。

2019年の見頃はいつ?

10月初旬から色付き、例年の見頃は10月中旬~11月上旬。紅葉スポットは、大蛇嵓、正木峠、シオカラ吊橋、日出ケ岳、牛石ヶ原、と見どころ満載です!ミズナラ、ナナカマド、シロヤシオ、モミジ、ブナなどが、色彩豊かに山全体を秋景色にします。

定番の「東大台コース」

4つある登山コースのうち今回紹介するのは2つ。1つ目に紹介するコースは、大台ヶ原山の主な見どころが随所にある東大台コースです。手続きなしで入山できて整備され歩きやすい登山道は、登山者や観光客に人気。

  • 距離: 約7.7㎞
  • コースタイム: 約3時間40分
  • 標高差: 約119m

大台ヶ原ビジターセンター(40分)→日出ヶ岳(30分)→正木ヶ原(10分)→尾鷲辻(15分)→牛石ヶ原(25分)→大蛇グラ(58分)→シオカラ谷吊橋(40分)→大台ヶ原ビジターセンター

ビジターセンターの左側にある登山口からスタート。緩やかな道を歩き進めると、太平洋の熊野灘が見える展望台に到着します。紅葉を背にし階段を登ること約10分、三重県の最高峰、日出ヶ岳山頂に到着です。

(展望台への途中で振り返ると見える景色)

山頂の日出ヶ岳展望台からは、大普賢岳、行者還岳、弥山、八経ヶ岳、釈迦ヶ岳~と360度の大パノラマ!広い青空に山一面の紅葉が鮮やかに映えます。

(展望台からの眺め)

展望台からも整備された木道、階段が続きます。紅葉に囲まれながら歩く贅沢なコースです。何度かアップダウンを繰り返すと正木ヶ原に到着。

(大台ヶ原の正木ヶ原)

幻想的な立ち枯れの中を進みます。尾鷲辻の東屋を過ぎて平坦な道を歩いていくと牛石ヶ原に到着。牛鬼という魔物を封じた伝説のある牛石と、伊勢湾方面を見守る神武天皇像が建っています。

(牛石ヶ原)

広々とした笹原の中を歩き、色を染めたブナやミズナラがある方へと向かいます。下り坂を進み、幅の狭い木段を登ると大蛇嵓の展望ポイントに到着。断崖絶壁の前には、錦色に染まるせり出した大蛇嵓。百名山の大峰山の後ろには、幾重にも重なり合う山々が望めます。

(大台ヶ原 大蛇嵓)
(紅葉の大蛇嵓)

来た道を戻って分岐を左に進み、シャクナゲ坂を下ります。清らかな水の音が聞こえたらシオカラ谷に到着。ひらけた場所ではありませんが、秋色に染まった木々に覆われた素晴らしい景色が堪能できます。

(途中で通過する吊橋)

吊橋を過ぎたら登り坂。最後にひと踏ん張りしたらビジターセンターでゴールです。

周回せずに、大蛇嵓から牛ヶ原・正木ヶ原へ引き返したあと、尾鷲辻から中道を通りビジターセンターに戻るコースもあります。体力に合わせて選んでみてください。

入山の人数制限あり!「西大台コース」

環境省は西大台の原生林の自然を保護するため、2007年9月から西大台を日本で初めての利用調整地区に指定しました。入山には人数制限があり事前の手続きが必要。その分、守られた美しい自然が堪能できます。紅葉シーズンは土・日曜日で100人、平日で50人まで入山可能。

西大台入山の手続きについて調べる

  • 距離: 6.5㎞
  • コースタイム: 3時間41分
  • 標高差: 265m

大台ヶ原ビジターセンター(76分)-七ツ池(60分)-開拓分岐点(85分)-大台ヶ原ビジターセンター

始めにインターネットまたは電話で仮申請予約を。手数料入金及び立入申請し、立入認定証を受け取りましょう。登山日に大台ヶ原ビジターセンターで事前レクチャーを受講してから入山します。

西大台コースは、時計回り反時計回りのどちらでも歩けますが、今回紹介するのは反時計回りのコース。ブナやカエデなどの森林が多く、落ち葉の絨毯や苔の中の静かな山道。またいくつもの川を渡ったり、ゴロゴロと転がる岩のある道を歩くので、足元には注意しましょう。

(森林の中を歩く西大台コース)

開拓分岐より逆峠展望台へ向かうと、根元がカボチャのように膨らんだ「カボチャミズナラ」と呼ばれる巨木があります。カボチャミズナラまでは開拓分岐より片道30分。逆峠展望台からは大蛇嵓も見えるので、時間と体力に余裕がある人にはおすすめです。

宿泊して東・西を両方楽しむのもおすすめ!

東大台コースと西大台コースの両方を楽しみたい人には、ビジターセンターの隣にある宿泊施設「心・湯治館」に宿泊するのがおすすめ。山小屋のような優しくて温かみのあるお宿で、大台ヶ原の朝日や星空を見るのにも抜群の宿泊施設です。

所在地:奈良県吉野郡上北山村大字小橡大台ヶ原
電話番号:07468-2-0120
営業期間:4月第4土曜日~11月24日まで(宿泊は23日まで)

心・湯治館のHPを見る

服装や持ち物は?

紅葉の見頃は10月中旬~11月上旬。この時期は気温が低く、最高気温で6~11℃です。しっかりと防寒対策をすることが大切ですが、どんなアイテムを用意すればいいのか難しいところ。登山の服装や持ち物のポイントを見てみましょう。

大台ヶ原山へは登山の服装で行こう

長時間歩く登山は出発したばかりの時は寒さを感じても、歩き続けると暑くなり、立ち止まると体が冷えてまた寒い思いをすることも。
登山では服の重ね着が基本。服の脱ぎ着で体温調整できるよう重ね着をしましょう。そして汗冷えや低体温症になる可能性を避けるため、乾きにくい綿素材ではなく、速乾素材の服を選ぶことが重要です。

足元は履き慣れたスニーカー、または登山靴で歩きましょう。

▼登山の服装を調べる

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持ち物は何が必要?

大台ヶ原山は、屋久島と並ぶほど年間の降雨量が多いことで有名。天気予報は晴れでも雨対策は必須です。変わりやすい山の天気に対応するためのレインウェア、登山中の飲み物や行動食などしっかり準備しましょう。両手がふさがらないよう荷物はリュックに入れて持ち運ぶのがおすすめ。下の記事にある準備リストを使い、 万全の備えで臨みましょう。

▼登山の持ち物を調べる

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混雑情報が知りたい!

大台ヶ原山は、紅葉シーズンには平日も土・日曜日も大勢の観光客や登山客が訪れる場所。時期によっては大変混雑します。

公共交通機関でのアクセスがおすすめ!

駐車場の駐車台数は約200台分ですが、朝9頃には満車になってしまいます。ハイシーズンの時には朝7時頃に満車になることも。
駐車待ちの車の列が車道脇に数キロも続くこともあるので、登山が計画的に進められる公共交通機関でのアクセスがおすすめです。

登山口へのアクセス・駐車場情報

車で行く時は混雑具合により登山時間が大幅にずれてしまうこともあるので、時間に余裕をもって出掛けましょう。

車の場合

【車の場合】
①大阪方面から
阪和自動車道美原JCT-南阪奈道路-国道165号大和高田バイパス-国道169号経由。美原JCTから約2時間30分。

②中京方面から1
名阪国道針IC-国道369号-国道370号-国道169号経由。針ICから約2時間30分。

③中京方面から2
亀山JCT-伊勢自動車道-勢和多気JCT-紀勢自動車道-尾鷲北IC-国道42号-熊野大泊IC-国道42号-国道309号-国道169号。熊野大泊ICから約1時間40分。

④奈良市方面から
国道24号-国道169号経由。奈良市内から約2時間45分、橿原市内から約2時間。

⑤南紀方面から
国道42号-国道309号-国道169号経由。熊野市より約2時間。

<駐車場>
駐車可能台数:約200台
料金:無料
トイレ:あり

公共交通機関の場合

近鉄南大阪・吉野線 近鉄大和上市駅にて下車ー奈良交通バス「大台ヶ原行き」乗車ー「大台ヶ原」下車(近鉄大和上市駅より約1時間44分)

奈良バスなびWEB

ありのままの自然が織り成す紅葉は幻想的

標高1,695mの大台ヶ原山の紅葉は、自然の厳しさの中で美しく生きる原生林の力強さを感じるメッセージ性の高い圧巻の景色です。他の山では見られない幻想的な異空間に、この秋、ぜひ訪れてみてください!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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