多摩川の増水に伴い大規模な浸水被害が発生した高津区や中原区では15日、住民が自宅の後片付けに追われた。路上には大量の家財道具が山積みにされ、住民は「こんなことは初めて」と被害の大きさを嘆いた。
高津区で被害が目立ったのが平瀬川沿いのエリア。合流先の多摩川の水かさが増えたため平瀬川の水が行き場をなくしてあふれ出たとみられ、同区溝口6丁目では水没したマンションに住む男性1人が死亡した。
水が引いた後も路面には泥が残り、住民らは浸水した自宅から家財道具を運び出すなど作業に汗を流した。同区久地2丁目の自宅マンションが浸水した男性(80)は「服が流されてしまい急きょ息子に用意してもらった。川の土手が崩れることはあったが、このようなことは初めて」。同居の妻(80)も「畳も全てぬれてしまった。元の生活に戻るのは大変」と疲れた表情で話していた。
中原区では、特別養護老人ホームなどが入る社会福祉施設みやうちも1階部分が水没。入居者約120人は上階に避難して無事で、15日はボランティア団体のメンバーや地元自治会員ら十数人が集まり復旧作業に当たった。
施設周辺は最大で1メートル以上浸水したといい、自宅が被害に遭った無職男性(80)は「避難先の小学校から帰ってきたらすごいことになっていた。多摩川の川崎側が氾濫したらもっと大変なことになっていただろう」と話していた。