【台風19号】多摩川沿い中心に被害 1人死亡6人けが

台風19号の大雨で1階部分が水没したマンション。住民が後片付けに追われた=川崎市高津区溝口6丁目、2019年10月15日午前11時25分ごろ撮影

 記録的な暴風雨をもたらした台風19号は、神奈川県川崎市内にも大きな爪痕を残した。市の集計では、水没した高津区のマンション1階で60代男性が死亡し、中原、多摩、麻生の3区で避難途中に転倒するなど6人が軽傷を負った。市内の床上・床下浸水は約1350件に上り、広範囲が冠水した中原区の武蔵小杉ではJR横須賀線の駅や高層マンションも被害を受けた。

 市によると、浸水被害は多摩川沿いのエリアに集中した。中原区が約720件、高津区が約560件で、両区で全体の9割以上を占めた。

 市下水道管路課によると、多摩川に近い中原区上丸子、下沼部地区では多摩川の水位が上昇し、下水管を通じて河川の泥水が逆流してきた可能性がある。武蔵小杉周辺も多摩川の水位が同地域の地盤より高くなって排水ができなくなった上、大量の降雨で浸水、冠水が起きた可能性が高いという。

 避難所は156カ所に開設され、13日正午のピーク時で約3万3千人が身を寄せた。15日午後3時時点でも中原、高津区の計3カ所の避難所に、約40人が避難している。

 道路冠水は武蔵小杉駅前をはじめ24件に上った。15日時点の停電は中原区で約600件。宮前、多摩、麻生区で小規模な土砂崩れも5件発生したが、家屋や人への被害はなかった。

 川崎区の臨海部では、東扇島西公園でフェンスの倒壊や石積みの倒壊、ウッドデッキの剥離が多数確認された。市は公園を全面的に閉鎖し、復旧作業を進めている。

 このほか、公共施設でも浸水や雨漏り、倒木などの被害が各所で確認された。

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