豪雨によって日本各地に甚大な被害をもたらした台風19号。水害のボランティア活動に際して注意すべき点は何か。被災者への支援活動を行っている特定非営利活動法人(NPO法人)「レスキューストックヤード」(名古屋市)の事務局長・浜田ゆうさんに聞いた。
〈装備〉
自分の地元でそろえてくるのが大前提
■マスク
汚物を含むさまざまなものが流されてくるため、ほこりや泥にはばい菌がいっぱい含まれている。それが舞った粉じんを吸い込んで、感染症にかからないためにマスクは必須となる。
マスクは工事現場などで使われている「防じんタイプ」。日常的に用いられている風邪や花粉症対策用のマスクでは肌との間に隙間ができてしまうため、適さない。
■ゴーグル
汚れた手で汗をぬぐう時に、目が感染症になる恐れがある。それを防ぐため。
■長靴
膝下までカバーするものを。
■水筒
涼しくなってきたとはいえ、熱中症には注意しなければならない。飲めるだけでなく目や手を洗える水がベストだが、麦茶やお茶でも可。
スポーツドリンクは熱中症を防ぐには有効だが、糖分が入っているのでべたついてしまう。熱中症予防は梅干しや塩あめで。
■その他
長袖シャツに長ズボン、厚手のゴム手袋。
けがしたときの応急セットや雨具などを入れるバッグ。ウエストポーチが取り出しやすいのでお薦め。
もちろん、食料も。
<被災地に来る前に>
ボランティアの募集状況などはインターネットで検索を。ボランティアセンターなどに電話で問い合わせする人が少なくないが、本来の業務を妨げてしまう恐れがあるので絶対に避けてほしい。
宿の手配も自分で。
<実際の活動に際して>
■被災者への心遣いを忘れずに
例えば、「このゴミ、捨てますか?」などの言葉を口にするのは禁物だ。被災した人にすれば、思い出が詰まった大切な物で「ゴミ」ではない。そして、廃棄するか否かの決断は被災者に任せる。とはいえ、迷うことも少なくないので「残す」「捨てる」に加え、「ちょっと考える」という選択肢を用意すると、被災した人の負担が減る。
■被災者の声に耳を傾けて
ボランティアだからこそ、悩みや苦しみと言った心情を話せることがある。被災者が話したそうなときは作業の手を休めて、話を聞いてほしい。ゆっくり会話をすることも、ボランティア活動になる。
■心に余裕を
被災地のためにという気持ちは理解できるが、頑張りすぎないように。心に余裕がないと、被災者の気持ちを忘れがちになってしまう。
最も大切なことは、被災者、そして被災地に寄り添うことです。
<19日からの週末に参加しようと考えている方へ>
18日から19日にかけて、被災地を中心に再び大雨になる恐れがあります。被災地でのボランティアに参加しようという方は以下のことに注意して下さい。
(1)行こうとしている自治体でボランティアを募集しているかを、各ボランティアセンターのホームページで確認する。大雨の場合、募集そのものを取りやめている恐れがある。
(2)台風19号による雨で地盤が緩んでいるので、大雨警報に注意して2次被害に巻き込まれないようにする。
(3)各自治体で作業を中止する基準が違うので、必ずボランティアセンターで確認する。
NPO法人レスキューストックヤードがまとめた「水害ボランティア作業マニュアル」は、同法人のホームページでダウンロードできる。(構成、共同通信=榎並秀嗣)