農家と客交流、安心の野菜を 農産物の直撃販売所「taneto」 移住者の奥津さん「いろんな種 生まれる場に」

直売所の方針について説明する奥津さん(中央)=雲仙市千々石町

 雲仙市千々石町の農産物直売所「直撃販売所雲仙」が11月19日から、有機野菜を中心とした店舗に生まれ変わる。新店名は「taneto(タネト)」。出荷農家らへの説明会など準備を進める運営責任者の奥津爾(ちかし)さん(44)は「野菜だけでなく、人の交流などいろんな種が生まれる場所にしたい」と意気込む。
 奥津さんは東京都出身で、風土に根差した食材を使った飲食店や料理教室を運営してきた。6年前、雲仙市の風土にみせられ同市に移住。野菜から採った種でまた野菜を育てる「種取り農業」の普及などに携わっている。
 「雲仙には魅力的な野菜が多く、育つ土地柄も素晴らしい」と奥津さん。同直売所の指定管理者「嘉祥(かじょう)」とタッグを組み、野菜販売を通じて農家と利用客をつなぐ交流拠点にしたい考えだ。コンセプトに「子どもが安心して遊べる田畑の農産物」「家族が笑顔で元気になる野菜」などを掲げ、有機野菜中心に転換する。
 17日、同直売所であった説明会には、農家や特産品業者、親子連れなど約40人が参加。奥津さんは「畑の情景や、農家さんの顔が想像できるような野菜を売りたい。子どもに安心して食べさせられる野菜は、ずっと次代まで継がれていく」と、協力を呼び掛けた。
 説明会の終盤、いすに座った大人たちの間を、会合に飽きた子どもらが笑いながら駆け回る。その声につられ、大人たちからも笑みがこぼれる。「ね、こういう場所にしたいんですよ」。奥津さんの言葉に、また会場が笑いに包まれた。
 ◆◆◆
 第2回の住民説明会は20日午後1時から同直売所で開く。参加自由。

© 株式会社長崎新聞社