築240年鐘楼堂、門信徒の力で修復 八尾の妙覚寺

修復した鐘楼堂を見つめる坂本会長(右)ら

 約540年前に創設された富山市八尾町茗ケ原の「妙覚寺」(友山象岳住職)で、境内にある鐘楼堂の修復が完了した。約240年前に建てられたもので、過去の地震や大雨で道路側に約15センチ傾き、倒壊する危険があった。門信徒が寄付し合って修復費を集めた。関係者は「事故を未然に防ぐことができて良かった」と胸をなで下ろしている。(八尾・婦中支局長・藤木優里)

 妙覚寺は1473年に開かれた浄土真宗本願寺派の寺院。友山住職(69)は八尾地域周辺の寺仲間でつくる組織「善解組(ぜんげそ)」の組長(そちょう)を担う。

 鐘楼堂は1778年に建造され、基礎が石垣でできている。約240年の間に起こった地震や大雨の影響で、全体が県道茗ケ原八尾線の走る東側に約15センチ傾いていた。

 昨年5月、県が認定する被災建築物応急危険度判定士に調査を依頼したところ、震度4~5の地震で倒壊する恐れがあると分かった。門徒会は全国各地で相次ぐ災害を受け、修復して倒壊を防ぐことが重要だと、理事会を複数回開催。会員や信徒に修復費の寄付を呼び掛けた。

 工事は昨年末から始まり、ことし9月に完成した。門徒会の坂本稔会長(78)は、「皆さんの厚意があり、道路側に崩れるといった大惨事にならずに済んだ」と言う。

 20日には修復を祝う法要が営まれ、八尾地域などの子どもたちによる稚児行列や、本願寺富山別院の雅楽隊による演奏が行われる。

 友山住職は「門信徒の皆さまの厚意によって修復できた。本当に感謝しかない」と話した。

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