「黒船」の動向注視 富山駅前ホテル開発ラッシュ

 富山駅周辺にホテルが相次いで進出している。新たに米ホテル大手ヒルトンが同駅前に北陸初のホテルをオープンすることになった。県内の業界関係者は、富山の観光・ビジネス需要が世界規模の大手チェーンに認められたことを評価。一方、客室の供給増に伴うホテル間競争への懸念もあり、到来する「黒船」の行方を注視している。

 新ホテル「ダブルツリーbyヒルトン富山」が開業する2022年は富山駅周辺にオークラ、JR西日本グループもホテルをオープンする。駅前の富山エクセルホテル東急(富山市新富町)の岡田浩之総支配人は「700室余り供給が増える」と指摘。「アッパークラスのお客さまが増えるのは喜ばしい」としつつ「サービス、設備に磨きを掛けねばならない」と語る。

 「ヒルトンのネームバリューは大きい」と話すのは富山第一ホテル(同市桜木町)の稲垣仁総支配人。外資系有名ホテルの登場で「マーケット全体の魅力が高まる」と期待する。

 ANAクラウンプラザホテル富山(同市大手町)の飯沼潔人総支配人はオークラ系列に続き、ヒルトン進出が決まったことで国内外の有名ホテルチェーンが「富山のポテンシャル(潜在能力)を認めた」と言う。ただ、ライバルでもあり「気を引き締めて備えていく必要がある」と警戒する。

 22年に富山駅前がホテル開業ラッシュを迎える背景について「23年春の北陸新幹線敦賀延伸や雪の大谷シーズンを見据えているのではないか」とみる。建設業の人手不足などを踏まえ、工期遅れを織り込んでいる可能性があるとした。

 新ホテルは会議室を備える。「どの程度の規模のイベントに対応できるのか気になる」と稲垣氏。ただ、宿泊の受け皿が増えるのは確実とし「コンベンションを誘致しやすくなる」との見方を示した。

 15年の北陸新幹線開業に伴い、金沢市中心部で続いたホテル開発が富山駅周辺にも波及。金沢駅周辺は大規模用地が既に売れてしまい、大手資本が物色の範囲を広げ、富山に注目していた。(経済部・池亀慶輔)

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