消費増税で“買うのガマン”5割、“必要なもの吟味”8割

10月1日より、消費税が10%へと引き上げられました。軽減税率制度によって8%に据え置かれる商品もあるとはいえ、早速増税を実感している人も多いのではないでしょうか。

日本に消費税が導入されたのは、いまからちょうど30年前の平成元年。3%から始まり、5%、8%と徐々に引き上げられてきました。

そして、今回の増税で消費税率は10%。導入時の3倍超にも及びますが、政府は幼児教育・保育の無償化など、全世代型社会保障制度への転換を目指すために必要と説明しています。

一方で消費税は、人々の生活シーンに密接に関わる最も身近な税金でもあります。今回の増税は、購買意識や行動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。


変わるのは、就業意欲より購買意識

しゅふJOB総研が、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦層”に、消費増税後の購買意識・行動に変化があると思うか尋ねたところ、「変わる」と回答した人が半数超でした。

有効回答数995人

一方、働き手としての目線から、消費増税が就業意欲にどのような影響を与えているのかを確認したところ、以下の結果となりました。

有効回答数995人

「就業意欲が上がる」「やや就業意欲が上がる」と回答した人の合計は31.6%。それに対し、「就業意欲が下がる」「やや就業意欲が下がる」と回答した人の合計は11.5%で、差が20ポイントあります。

しかし、最も多くの人が選んだのは「就業意欲に影響はない」で57.0%。この項目を選んだ人から寄せられたフリーコメントには、以下のようにありました。

「消費税が増えようが減ろうが、仕事はする」「扶養内で仕事をしているため」「前回の消費税増加でも変化はなかった」「ひとつひとつの購入そのものをより大切にすればいいと思うから」「2%の増税よりも、子供の成長に伴う出費増が、働く動機になる」

ガマンより“賢く消費”する傾向

続いて、最初の質問で購買意識・行動が「変わる」と回答した人だけに、「どのような変化がありそうか」を確認した結果が以下です。

有効回答数501人

1番多かったのは「本当に必要なものかをより吟味する」で、8割を超えています。「より安く購入するために念入りに比較する」が2番目に多く57.5%。そして、僅差で3番目に「なるべく購入を我慢するようになる」が入っています。

1番と2番は、いずれも「買う」ための心がけや手法を示す項目です。それらの選択肢が、買うのをガマンする選択肢よりも前に来ています。

消費税増税後は、なるべく「買わない」のではなく、しっかり吟味したり、比較して賢く「買う」という選択をする人の方が多いようです。

2%の増税は大したことない?!

一方、消費増税後の購買意識・行動について「変わらない」と回答した人から寄せられたフリーコメントの中で目立ったのは、2%の増税率をあまり意識しないとする声です。

「2%アップに特に影響を感じていない」「2%くらいなら何とでもなる」「2パーセント上がったことくらいで人生を左右されないから」「2パーセントの差ではあまり意識の差はありません」「2%は大したことない」

確かに、2014年の消費増税で引き上げられたのは3%でした。比率の感じ方には個人差があると思いますが、この1%の差を敏感に感じ取っている人もいそうです。また、8%から10%に上がるインパクトは、上昇率にして125%。それに対し、5%から8%に上がった時のインパクトは上昇率にして160%に及びます。そう考えると、今回の増税率2%は、過去の増税に比べれば影響度が低いのかもしれません。

しかし、たかが2%、されど2%でもあります。内閣府は8月の景気判断を悪化と下方修正しました。消費税増税はデリケートな時期に行われたと言えます。もし増税の負担ばかりが感じられ、その効果を実感できないようであれば、増税が経済活性化や国民の生活向上の足かせになりかねません。

消費税増税が人々に与える購買意識や行動への変化は、程度の大小に違いはあれ、痛みを伴うものです。その痛みに報いるためにも、全世代型社会保障への転換が進み、その恩恵を実感できるようにしていくことが大切なのだと考えます。

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