胸の高鳴り

 商店街の有志が定期的に集まっては「朝会議」を開いた。町に活気を、商店街ににぎわいを。どうしたらいいんだろう。ある時、ある祭りの映像をみんなで見た。「これだ」と胸は高鳴り、三十数人が自腹で札幌に飛んだという▲そこで見た「YOSAKOIソーラン祭り」の感動と熱気が冷めやらない。自分たちで2チームをつくり、当時の「おくんち佐世保祭り」で踊った▲そんな22年前の話を、佐世保市の中心商店街の方に聞いたことがある。翌1998年、6チームで「ダンスバトル」を開いたのが「YOSAKOIさせぼ祭り」の始まりで、3回目から今の名称になった▲今年の参加チームは170に膨らみ、佐世保市内の14会場で演舞を披露するという。西日本最大級のよさこいイベントが開幕した。きょう、あすの本祭で町はにぎわう▲いいものであれば「よそのもの」でも引き寄せ、練り上げる。やがて「独自のもの」になり、本物になる。伝統に寄り掛からず、角張らず、物事を柔軟に考えるといわれる「佐世保人気質」と、おそらく無縁ではないのだろう▲今年は「総踊り」が一新される。踊り子と観客が、掛け声や振り付けで一体になれる趣向にするという。三十何人かの胸の高鳴りを“発端”とする祭りはいま、何万という人の胸を躍らせる。

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