小泉元首相「日本で原発運用は無理」京都で講演、エネルギー政策を批判

記念講演する小泉元首相(19日、京都市中京区)

 京都先端科学大(旧京都学園大)の創立50周年を祝う式典が19日、京都市中京区のホテルで開かれ、小泉純一郎元首相が「日本の歩むべき道」と題して記念講演した。小泉氏は原発に依存する日本のエネルギー政策を痛烈に批判し、「日本で原発を運用するのは無理だ」と訴えた。
 東日本大震災の東京電力福島第1原発事故を機に原発政策の考え方を改めたという小泉氏は、1時間強の講演の半分以上を割いて「脱原発」を力説した。
 小泉氏は「安全、低コスト、二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーというのが原発推進論者の『三大大義名分』だが、全てうそだった」と一蹴。「原発は金食い虫。世界一厳しい安全基準を作ったと言っているが、原発は無理だとはっきり言える」と述べた。
 また、国内の消費電力の2割を原発で賄うとした国の政策を批判し、「太陽光などの自然エネルギー利用は震災後に大きく伸びた。一日も早く原発をやめ、全電源を自然エネルギーにすれば世界の模範国になれる」と主張した。
 式典には高校や大学関係者を中心に約500人が出席した。同大学を運営する学校法人の永守重信理事長(日本電産会長)は講演前のあいさつで「モーターを省電力化すれば原発をなくすことは簡単だ」と強調。現在の大学教育についても「偏差値やブランドの信奉が国全体を悪くしている。今からあっと驚く大学に変えていく」と意気込んだ。

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