「地域のためにも」再挑戦 大崎 延長の末の惜敗 九州高校野球

【1回戦、大分商-大崎】10回を一人で投げ抜き、打っても3安打と活躍した大崎のエース田中=佐賀市立野球場

 第145回九州地区高校野球大会第2日は20日、佐賀市立野球場などで1回戦4試合が行われ、長崎県第1代表の大崎は大分商に延長十回3-4で敗れた。
 大崎は0-3の八回1死二、三塁から、田中の三ゴロの間に1点を返すと、続く田崎、本藏の連続適時三塁打で同点に追いついた。だが、延長十回に押し出しで勝ち越し点を献上。最後は1死二、三塁の好機を生かせなかった。

 ■「地域のためにも」再挑戦

 大崎の58年ぶりの九州大会は初戦で幕を閉じた。延長の末の惜敗に、就任2年目の清水監督は「物おじせずに、やることを積み重ねていけばできる。でも、出る以上は優勝を目指していたので悔しい。“たられば”はある。監督のせい」と冷静に自らを責めた。
 県内公式戦11連勝で乗り込んだこの日、その力は示した。打線は七回を除いて毎回の15安打。エース田中は得意の縦スライダーを生かして互角以上に投げ合い、打っても3安打と気を吐いた。八回には身長155センチの田崎の適時三塁打などで3点ビハインドの試合を振り出しに戻した。攻守ともに強さは感じさせた。
 だが、終わってみれば残塁12。主将の坂口が「前半に取っておけば」と悔やんだように、ホームが近そうで遠かった。逆に相手エースは、二回に自ら先制のホームを踏むと、その裏には送りバントを併殺に仕留めるなど、早い段階から勢いづいた。気持ちの面も含めて、ほんのわずかな差が、試合の明暗を分けた。
 残念な結果にはなった。だが、スタンドに駆けつけた地元西海市民らの大声援を背に、生徒数114人の小さな学校は「地域のためにも」という姿勢で戦い抜いた。清水監督は「こんなにもスタンドがいっぱいになるのは、あまり見たことがない」と感謝で締めた。
 選手たちも最後は前を向いた。田中は「負けたくないとあらためて思った。死ぬ気でやる」、坂口も「追い込んで足りないところを追求する」。また、やることを積み重ねて、チームは地域とともに成長する。

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