無料で話題の「LINEカーナビ」、運転中でもスマホに手を触れずに操作

急な外出やドライブでもスマホが1台あればすぐに使えるのが「カーナビアプリ」の良さ。これまでも数多くのアプリがリリースされましたが、9月5日に満を持して登場したのがSNSアプリでおなじみの「LINE」が開発した「LINEカーナビ」です。

無料で使えて実はかなりの実力派、早速使ってみました。


シンプルでも実は中身が凄いナビ機能

まず、基本的な部分として、このアプリは通信料を除けば基本無料で使えるということです。

カーナビ機能に関してはトヨタが展開している「ハイブリッドナビエンジン」と呼ばれる技術をベースに開発されています。トヨタのシステムを使っていますので、ルート案内はもちろん、リアルタイムの走行情報などや外部からの情報を活用することで最適なルートを常に提案してくれます。

また地図も自動更新されるので特に操作は不要です。主要道路は最短即日、平均1週間で更新されます。そしてその更新料も“無料”です。

これらは昨今流行りの「ビッグデータ」というものを活用するわけですが、ユーザーは「そんな難しいこと言われてもわからない」と思う必要もないほど、簡単に操作することができるわけです。この敷居の低さがこのナビの良いところです。

渋滞情報も地図画面上にしっかり表示します

これは驚いた! 音声認識は「Clova」を活用

そしてLINEならでは、という部分が音声認識システムに同社のスマートスピーカーに搭載される「Clova(クローバ)」を使用する点です。

世に出回っているスマートスピーカーの多くは話しかけるとすぐに反応してくれるのが特徴ですが、この「LINEカーナビ」もスマホに向かって「ねえClova」と話しかけるだけでアプリを操作することができます。

ご存じのように運転中のスマホ操作は道路交通法では「ながら運転」に該当し違反となります。

しかしこのアプリの場合、音声のみでスマホに触れなくても起動しますので運転中の操作が可能になります。

具体的にはカーナビの目的地設定もこのClovaにお任せ。目的地の希望を話しかけるだけで候補を探してくれます。候補がいくつかあった場合、さらに番号を言うだけでルートを探索→案内開始となります。ここまでスマホの画面に触ることは一度もありません。

画面下のマイクのマークを押しても反応しますが、基本は音声のみで作動します

極めつきはLINEメッセージの送受信

基本スマホに触れる必要が無いのでLINEメッセージの送受信が音声だけで操作できるのには驚きました。「ねえClova、●●にLINEメッセージ」と伝えると「送信内容をどうぞ」と言われるのでそのまま話すとアプリ側が内容を復唱してくれてOKならば送信してくれます。これはかなり便利であり、運転中にスマホに触れたり、画面を見る必要もない点は新しい提案として評価できます。

その他にも待ち合わせなどの際「ねえClova、現在地を送って」と伝えるだけで、相手には地図付きで現在地情報を送ることができるかなりの優れものなのです。

LINEメッセージの発話方法と実際の画面、これが全部音声で操作できます

車内から家の家電が操作できる

この他にもClovaを活用することで、天気予報やニュース、またLINEミュージックやradikoも操作できます。また家にClovaを搭載したスマートスピーカーと対応する赤外線ユニット等があれば、車内から家電などの操作が可能になります。

LINEカーナビアプリで出来る色々な機能です

特に一番重宝するのがエアコンでしょう。夏の暑い日、家に着いてから冷房を入れてもしばらくの間は不快な環境を我慢しなければなりません。同様に冬であれば暖房のケースです。しかしこれを使えば到着する少し前を見計らって「エアコンのスイッチを入れて」と伝えれば良いのです。また家から出た際「照明消すの忘れた!」と思っても焦る必要はありません。「電気消して」と話しかけるだけで連携させた照明をオフにすることができます。

つまり、車内にいながら家庭内のIoT化が可能になり、簡単に「未来を体験」することができるわけです。

1人のドライブも退屈しない

実用的な機能はもちろんですが、Clovaとの会話を楽しむのも意外と面白いものです。ClovaはAIエージェントですから、日々進化しています。マニュアル(コマンドガイド等)には載っていないことを話しかけても結構リアクションが面白いのがこの手のシステムの特徴です。

「ねえClova、僕のことどう思う?」と質問したら「あなたとの会話は楽しいですよ」とか「●●ってイヤな奴だよね」と聞いたら「そんなことを言うものではありません」と諭されてしまいました(笑)。この他にも占い(星座を音声で伝えるだけ)も毎日楽しめますし、あと、実用的な機能としては「メモを取って」と発話するとスマホ内に自分の音声でメモを残すこともできますので、運転中に気になる情報を目にしたら音声で記録して後で再生すれば良いわけです。

要はアプリ側が常に進化することでどんどん便利になっていくということなのです。

大画面で使いたいならDAとの接続に期待

前回の「すべてが新しい「新型カローラ」 国内専用モデルまで作った理由がスゴい」でもお話しましたが、このLINEカーナビをトヨタが開発した新しいDA(ディスプレイオーディオ)であるSDL(スマートデバイスリンク)に接続すると7型(オプションで9型も選べる)の大画面で使うことができます。

SDLにスマホを接続すると地図画面は横になります

現在LINEカーナビが接続できるのはトヨタのSDL以外は基本ありませんが、来年発売する新型ヤリス(あのヴィッツが世界統一車種の名称に変わりました)にもSDLが搭載されることで爆発的にユーザーが増えるでしょう。

来年発売のトヨタ・ヤリス。これにもSDLが標準装備されます

つまりより多くのユーザーが使うことでClovaはどんどん賢くなるわけです。気になる通信費もLINEミュージックやradikoなどのストリーミングでは消費しますが、カーナビではストリーミングほどは消費しません。音楽系に関してもストリーミングの節約方法はたくさんあるので、これに関しては後日お話します。

AppleのCarPlayやGoogleのAndroid Autoも同様のサービスが利用できますが、スマホ単体で使うことができるという点では、LINEカーナビは実用性も含め魅力的なアプリだと思います。

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