16年前倒しで4兆3000億円 北陸新幹線の大阪開業効果試算

 北陸経済連合会と関西経済連合会などは21日、2046年に予定される北陸新幹線の大阪までの全線開業を30年度に16年前倒しすれば、計約4兆3千億円の経済効果が得られるとの試算を公表した。北陸と関西の間を中心に全国で人の移動が年約1910万人増え、消費の増加などで年平均約2700億円の波及効果が生まれるとした。

 全線開業すると、富山-大阪間の所要時間は3時間から1時間40分に短縮される。北陸と関西間の交流人口は、15年度実績から1.5倍の2930万人に拡大すると予測した。

 試算は北経連と関経連、大阪商工会議所が実施。交流人口は国土交通省が今年7月に発表した2015年度の全国幹線旅客純流動調査などを基に推計。経済波及効果は宿泊や飲食、観光施設の利用の活性化なども織り込んで算出した。

 この日は3団体のトップが大阪市内で会見し、調査結果を発表した。北経連の久和進会長は台風19号で線路への浸水など重大な被害が発生したことに触れて「自然災害の激甚化を考えると国土強靱(きょうじん)化に向けて早期全線開業は絶対必要だ。日本の中央に新幹線のループをつくらなければならない」と述べた。

 関経連の松本正義会長は「北陸と関西は文化的にもつながりが深い。一日も早く新幹線でつなぐことで、関西のインバウンド(訪日外国人客)効果を北陸に波及させることができる」と強調した。3団体は今回の試算結果を国への要望活動に活用し、早期大阪延伸の機運を高める。

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