障害児の子育てに味方 川崎でハンドブック出版

 川崎市の障害児支援団体や学校、行政機関などでつくる「豊かな地域療育を考える連絡会」が、障害児の子育て情報を集めたハンドブックを出版した。5年前に発行したムックの続編で、支援制度などの情報を最新のものに書き直し、当事者や保護者らの経験談も集めた。同会は「どこにどんな相談をしていいか分からず、支援の手が伸びていない家庭が多い。最適な支援につながる手引書になれば」と話している。

  「障がい児の子育て支援ハンドブック」(税込み500円)は全96ページで、川崎市の支援体制をイラストや写真で分かりやすく解説。児童発達支援や訪問型サポートといった事業内容をはじめ、療育センターや特別支援学校など関係機関の役割を紹介している。

 当事者や保護者、支援者らの声も載せている。筋ジストロフィーで手足が不自由な金子文俊さん(19)=同市多摩区=は、体を移動させる際に使う機械について紹介。滑りやすい浴室内でも安全に入浴できる利点や、機械の着脱に時間がかかる点などを考慮した日常生活への取り入れ方を伝えている。金子さんは「カタログではメリットしか分からない。デメリットも併せた使い方を知ってもらえれば」と話す。

 県立養護学校の元校長、成田裕子さん(60)は学校での支援体制や情報共有の仕組みなどを解説。医療ケアが必要な子どもに母親が2年間付き添って通学したことがきっかけで、学校に看護師が配置されたエピソードも明かした。成田さんは「今ある制度は過去の親たちの実績の中で生まれてきた。子育ての過程を通して、社会のあり方を提言していってほしい」と思いを語る。

 本ではそのほか、障害のある子どもたちの将来の夢や好きなこと、母親や父親の育児体験も紹介している。同会は「今回は当事者の声を多く載せた。母親だけでなく父親の頑張りも見えてきたのが特徴的。一人で悩まず、助けてもらえる場があることを知ってほしい」とPRしている。

 ハンドブックはNPO法人療育ねっとわーく川崎サポートセンター(同市多摩区登戸)などで販売している。問い合わせは、センター内の同会事務局電話044(455)7468。

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