「議論ないのおかしい」 明治学院大で天皇制考える催し

 「即位礼正殿の儀」に合わせて天皇制について考える催しが22日、神奈川県横浜市戸塚区の明治学院大横浜キャンパスで開かれた。休日扱いとして授業を休みとした大学側の対応に疑問を持った教員、学生らの呼び掛けで「議論さえ起きないタブー」と向き合った。

 教員でつくる同大の国際平和研究所と学生サークル「ピースリング」が共催し、教職員と学生ら約30人が参加した。

 基調講演した篠崎美生子教授は、昭和天皇の死で自粛の空気に染まった平成への代替わりと比較し、「生前退位により死を介在させなかったため違和感が生まれにくく、考える機会が奪われた」と指摘。国民以外を疎外し、世襲で成り立つ天皇制は前近代的とした上で「この制度を社会がなぜ保持しているのか考える必要がある」と投げ掛けた。

 参加者による自由討議では「学生たちにも神聖な存在と受け止められ、批判が許されない空気がある」「税金が投じられている皇室の在り方を議論できないのはおかしい」といった意見が出た。「大学を休みにするか否かもしっかり議論し、問題点をあぶり出す必要があった」との声も上がった。

 法学部2年の女子学生(20)も休日扱いに違和感を抱いた一人。「天皇家の行事でなぜ大学が休みになるのか。多くの人は自分の生活に影響がないからと天皇制に疑問を持たずにいるが、そんなことはないと実感した」

 大学で勉強するまで「平成の天皇しか知らず、過去の戦争責任が問われる存在だとは思いもよらなかった」という。「アジア侵略の加害を生んだ歴史があり、女性が平等に扱われないなど天皇制への疑問は多々ある。広く受け入れられているといわれるが、問題点に気づいていないだけではないか」と話した。

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