台風被災 地域の情報を流し続けたコミュニテイーFMに注目 第一声は元祖ビジュアル系バンド「AURA」のMarbleさん

写真はイメージです

まず、今回の台風で被災された皆さまにはお見舞い申し上げます。

台風19号の豪雨で茨城県内を流れる那珂川が氾濫したにもかかわらず、国土交通省関東地方整備局が「氾濫発生情報」を出さず、住民の避難に支障をきたしたことについて、赤羽一嘉国交相が、18日に謝罪しました。

一方で、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川沿いの東京都狛江市では、11月からスタート予定だったコミュニティFM「コマラジ」が、狛江市の要請で、「臨時災害放送局」として、台風19号が東京に接近した10月12日の16時46分から13日の10時49分まで放送して、住民を守りました。

初回放送の原稿を読み上げたのは、伝説の元祖ビジュアル系バンド「AURA」のベーシストMarbleさん。「コマラジ」の社長も兼務されています。当初は、機材の貸出と放送時の立会いの予定でいらしたMarbleさんが、狛江市の強い依頼により、電波に第一声をのせました。

初めての緊急放送は戸惑いも学びも多かったそうです。

「弊社スタッフと市内在住のパーソナリティの笠原ちゃこさんと防災センター内の個室を臨時スタジオとして放送しました。今回は、急な対応でしたので、全て手書きの原稿となってしまい、放送には原稿を作るパソコンとプリンターが必須であることを痛感しました。話し手と情報を収集して原稿にする人、他のスタッフや行政との連携を担当する人など、最低でも2名から3名で1チームとして、時間で交代できる準備が必要だと思いました。閉局の際には、市長をはじめ多くの市民からも感謝のお言葉やコメントを頂戴し、本免許交付の前ではありますが、コミュニティFMの必要性を改めて感じた貴重な機会となりました。今後も、この経験を活かして、弊社スタッフと共にコミュニティ放送の運営と災害に対する備えに対して、尽力していきたいと思います」(Marbleさん)

台風が去った後には、狛江市に在住職者を対象にしたアンケートをとり、防災に真摯に取り組んでいらっしゃるコマラジさん。アンケートの中間集計についても、Marbleさんにうかがいました。

「今回のアンケートで、多く目にするのは、避難所についてです。特にペットの引き受け可と不可があり、情報がなく判断に迷った。近くの避難所が満員の為、他の避難所へ行くようアナウンスがあったが、高齢の親を連れて歩いて30分の移動は無理など、沢山のご意見を頂いています。そして、避難所についても、何が有って何を持っていけば良いのか、もっと情報が欲しいとのご意見も多くありました。

また、防災無線については、現状の数値(約100名回答)として、『聞こえたが何を言っているのか聞き取れなかった44.2 %』『全く聞こえなかった40.8%』であり、FM放送の必要性を強く感じました。災害時の放送内容は、行政とその関係機関の情報が中心となります。行政機関のランダムな情報と対策、事前のシミュレーションが大切であると思いました」(Marbleさん)

災害時は、インターネットやテレビより地域密着のコミュニティFM。Marbleさんは、数年間かけて、企画を実現しました。

狛江市内で不動産会社等を営むMarbleさんは、震災の頃から防災意識が強まり、市内にコミュニティFM局がないことを危惧していたそうです。調布FM、世田谷FM、川崎FMの圏内に狛江市はありますが、災害時に狛江市内の避難場所や救援物資の情報、被災状況等を被災者へ届けるには市内に局がなければ難しいと考え、約3年前から、有志と出資し、「FM狛江設立準備委員会」を立ち上げたのです。

調査を重ね、今年5月に狛江ラジオ放送株式会社(コマラジ)を有志6人で設立し、7月に総務大臣から予備免許を付与され、本放送の開始は、令和1年11月11日11時11分となっていました。

Marbleさんの人脈、人徳で、11月からの本放送の番組ラインナップの充実ぶりも驚異的です。(文◎花苑スープ)

© TABLO