【台風19号】箱根宿泊施設 4割が温泉停止 助け合いも

温泉の供給が止まった宿泊施設。沸かした水道水に「湯の花」をいれて対応しているという=箱根町仙石原

 台風19号の深刻な被害が続く神奈川県箱根町で、温泉供給が止まっている旅館などの宿泊施設が全体の約4割に上ることが23日、箱根DMO(町観光協会)の調査で明らかになった。土砂崩れによる設備や配管の損壊が原因で、供給が途絶えている宿泊施設は別の旅館から温泉の提供を受けるなどして営業を続けている。

 同協会が温泉供給会社3社に確認したところ、町内にあるホテルや旅館などの宿泊施設265施設のうち、約37%に当たる99施設で供給が止まっていることが判明した。箱根温泉供給(同町仙石原)は、別荘などを含む約230施設に供給できない状態としている。

 供給がストップしているのは強羅と仙石原の一部。大涌谷や早雲山の温泉造成設備破損などが主な原因で、3社とも「今月中に再開できるという情報はない」と説明している。ほぼ平常通りに供給を受けている地域の温泉を融通して営業する施設が多いという。

 今回の台風で、箱根は観測史上最多となる千ミリ超の雨量を記録。芦ノ湖が氾濫したほか、箱根登山鉄道は線路流失や落石などで箱根湯本-強羅間の長期運休を余儀なくされている。

 23日に小田原市内で会見した観光協会幹部は、芦ノ湖の遊覧船運行再開や代行バスの運行開始を「大きな復旧」とした上で、「これからの紅葉シーズンを観光客に楽しんでもらえるよう準備していきたい」と話した。

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