箱根ロープウェイ、全面運行再開へ

全線での運行を再開する箱根ロープウェイ=24日午後、早雲山駅近く

 箱根町などは24日、箱根ロープウェイの運行を約5カ月ぶりに全線(約4キロ)で再開すると発表した。台風19号の影響で寸断されていた県道をカバーすることで、「箱根ゴールデンルート」の主要コースが復活。箱根登山鉄道は一部区間で運休が続くが、観光客の周遊ルート確保で客足の回復につながりそうだ。運行再開は26日午前9時の予定。

 全線再開は、台風の影響で強羅地区と大涌谷をつなぐ県道734号の一部通行止めが続いていたことを受け、町などでつくる箱根山火山防災協議会の幹事会で協議。箱根山(同町)の噴火警戒レベル引き上げに伴う大涌谷園地の立ち入り規制を25日に見直し、警戒区域内を通過するため運休している姥子-早雲山駅間の運行を可能にすることを決めた。桃源台-姥子駅間は9月21日に運転を再開していた。

 箱根ロープウェイと箱根ケーブルカーが接続することで、強羅地区から芦ノ湖畔の湖尻地区が結ばれる。警戒区域内の大涌谷駅で乗客は駅舎の外に出られないが、観光客の周遊性は高まりそうだ。県によると、同県道も25日までに通行止めが解除される見通しという。

 ただ、橋脚の流失など甚大な被害を受けた箱根登山鉄道は箱根湯本-強羅駅間の長期運休を余儀なくされており、復旧の時期は見通せない状況。噴火警戒レベルの引き下げを受け、大涌谷園地の再開日を決める協議会の開催も、台風の影響で延期されたままだ。

 箱根ロープウェイの担当者は「手放しで喜べない」としつつ、「紅葉の時期に全線再開できることはうれしい。今後、規制エリア内の安全確認などを進めていきたい」と説明。同町の山口昇士町長は「町内の交通網が一日も早く回復できるよう、できるだけの努力をしていく」とコメントした。

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