豚コレラワクチン接種開始 富山など6県

 豚コレラ感染予防のための豚へのワクチン接種が25日、県内などで始まった。昨年9月に岐阜市の養豚場で国内26年ぶりの発生が判明してから感染拡大が止まらず、2006年4月に中止したワクチン使用に踏み切った。一連の豚コレラで最初の感染確認から2年となる20年9月に、国際獣疫事務局(OIE)が認定する「清浄国」ではなくなることが事実上確定した。

 ワクチン接種に向け農林水産省は防疫指針を改定、飼育豚や野生イノシシの感染が確認された11県を推奨地域に選定した。このうち富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重の6県で25日午前、作業が始まった。群馬や埼玉、長野、静岡、滋賀の5県でも26日以降に実施される。

 初回接種の対象は、富山が約3万頭、愛知約24万頭、三重は約10万3千頭、岐阜約5万2千頭、石川約2万1千頭、福井約1700頭。福井は2日間ほどで終わる予定だが、愛知は11月下旬ごろとしている。2回目は初回以降に生まれた豚を対象とする。接種計画が未確定の静岡を除く10県で初回の頭数は計約120万頭に上る。

 日本は現在、清浄国の資格を一時停止されている。新たな発生が3カ月間ないことが復帰の条件で、期限は1例目の判明から2年とされている。ワクチン使用で清浄国復帰には接種をやめてから1年間、新たな発生がないことが必要になり、来年9月に自動的に「非清浄国」となる。

 農水省はこれまで、非清浄国となれば輸出入に影響するなどとして接種に消極的だった。その間、感染は岐阜や愛知から北陸、関東に広がり、これまでに計14万頭超が殺処分された。

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