砂鬼「サンドーラ」に悲鳴と歓声 奇祭・大宝の砂打ち

サンドーラに捕まり、頭から大量の砂を浴びせられる子ども=長崎県五島市玉之浦町

 「サンドーラ」と呼ばれる砂鬼たちが見物客や住宅に砂を投げ付ける奇祭「大宝の砂打ち」(国選択無形民俗文化財)が27日、長崎県五島市玉之浦町大宝地区であった。
 同地区で豊作豊漁や無病息災を願う言代主(ことしろぬし)神社の秋祭りの一環。サンドーラは頭にわらをかぶり、顔や手足に墨を塗った恐ろしい風貌だが、砂を掛けられると災厄や疫病が払われるとされる。
 笛や太鼓の音が響く中、サンドーラや獅子、てんぐの他、くわなどの農具を持った住民らが集落を練り歩き、先々で農作業の様子をコミカルに表現した。
 砂の入ったかごを手にしたサンドーラは行列から抜け出し、道端に腰掛けたお年寄りや、泣きじゃくる子どもに砂を投げ付けて回った。必死に逃げ回った末にサンドーラに捕まり、頭から大量の砂を掛けられる子どももいて、集落にはにぎやかな歓声や悲鳴、笑い声が入り交じった。

泣きながら逃げ惑う子どももいて、集落に悲鳴や笑い声が響いた=長崎県五島市玉之浦町

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