今月末で退任する高岡商工会議所の川村人志会頭(77)が28日、北日本新聞のインタビューに応じ、3期9年間の在任期間を振り返った。組織の改革や北陸新幹線を生かした交流人口の拡大、中小企業の支援に力を注いだとし「社会が急速に変化する中、地域に寄り添う商議所でなければならない」とエールを送った。
■地域に寄り添う組織に
-トップとして心掛けてきたことは。
「職員や会員企業との距離を縮めることに尽きる。2010年の就任時にまず感じたのは、会頭との間に距離があるということだ。長年、三協立山とトナミ運輸という大企業が会頭職を担ってきた弊害だと思う。『開かれ、行動し、信頼される商議所』を目指し、若手職員や会員企業と積極的にコミュニケーションを取ってきた。『雰囲気が変わった』と言われるのが一番うれしかった」
-北陸新幹線の開業後、先頭に立って利用促進や観光振興に取り組んだ。
「高岡市だけでなく、周辺の自治体とも結束し、広域連携の機運を盛り上げることができた。交流人口は増えているとはいえ、十分ではない。食や宿泊施設の魅力をさらに磨くことができれば、高岡に訪れる人はもっと増えるはずだ」
-8月に高岡大和が閉店するなど、中心市街地の衰退に歯止めが掛からない。
「高岡大和を失った御旅屋セリオの再生は喫緊の課題だ。市は子育てや創業支援の機能を設けると言うが、それで十分なのか。まちなかの核となる建物を最大限有効に使えるよう、全体の方向性を決めるとともに経済界や有識者を巻き込んで知恵を絞るべきだ」
-塩谷建設会長の塩谷雄一氏にバトンを託すことになる。
「最適な人物に任せることができる。中心市街地の問題だけでなく、中小企業の人手不足や後継者難など課題は多いが、地域をよく知る新しいリーダーの下、これまで以上に地域に寄り添った商議所になることを願っている」(聞き手 西部本社・浜田泰輔)
■常任委を再編
高岡商工会議所は28日、高岡商工ビルで常議員会を開き、議員改選に伴う新役員案や常任委員会の再編案を了承した。11月1日の臨時総会で決定する。
2017年に策定した今後10年間の活動方針「地域振興プラン」に基づき、六つある常任委を「企業経営改革」「地域産業活性化」「まちづくり」「観光交流」「総務・組織運営」の5委員会に再編する。
退任する川村人志会頭は相談役、永田義邦副会頭は監事、多田慎一、齊藤栄吉両副会頭は顧問に就く。多田、齊藤の両氏と監事を務めた本多武二氏は名誉議員に推薦された。