「選手たちが喜ぶと、料理にも気合が入った」 球児支えた横浜高野球部、元寮母の渡辺さん

スクリーンで調理の様子を紹介しながら寮母生活を振り返る渡辺さん=鎌倉市

 横浜高校野球部の合宿所で22年間にわたり寮母を務めた渡辺元美さん(49)=横浜市=が28日、鎌倉市笛田の市教養センターで講演した。「寮母としての幸せな日々~高校球児の傍らで」と題し、全国有数の名門校の選手たちを栄養面で支えた日々を紹介。受講生は熱心に聞き入っていた。

 渡辺さんは、同校を率いて5度の全国制覇を果たした渡辺元智元監督の次女。1997年に母親の紀子(みちこ)さんから寮母を引き継いだ。2017年に管理栄養士免許を取得。18年に引退し、現在は桜美林大のアスリート寮で食事面をサポートしている。

 野球にのめりこみ、ほとんど家にいなかった父親、寮母として父を支え続けた母親。そんな両親に育てられながら、いつしか自分も寮母の道に進んだ。

 寮母になってからは「チームの一員として選手たちをサポートしたい」という気持ちが強くなり、真剣に仕事と向き合った。33歳で専門学校に入学し、栄養学を学んだ。

 一日に成人男性の2.5倍にあたる6千~7千キロカロリーを摂取する選手たちが20人暮らす合宿所。「食事は楽しくおいしく」をモットーに、見栄えや調理方法を工夫しながら1週間単位で必要な栄養を摂取できるように心掛けたという。

 「選手たちが喜んでくれると、料理にも気合が入った」と渡辺さん。プロ野球中日の柳裕也投手ら今も交流を続けているOBは少なくなく、彼らの活躍を温かく見守っている。

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