ユーモア儀式 佐世保・江迎「きねかけ祭り」 五穀豊穣を祈願

婚礼を模した儀式で五穀豊穣などを祈願した国選択無形民俗文化財「きねかけ祭り」=佐世保市、中尾公民館

 佐世保市江迎町中尾地区に300年以上伝わる国選択無形民俗文化財の「きねかけ祭り」が28日夜、中尾公民館であり、婚礼を模したユーモアあふれる儀式で五穀豊穣(ほうじょう)や家庭円満を祈願した。
 地元の白岳神社(執行輝次宮司)の例大祭に合わせ毎年行われている。現在は地区の住民9戸でつくる保存会(濵田義則会長)が風習を継承。祭りを主宰する夫婦役「施主」と盛り上げ役「ススメ」を交代で務めている。
 今年で4回目の施主を務める濵田会長(72)とキクヱさん(67)が華やかな婚礼衣装で登場。公民館玄関に設けたかまどの前で神事が行われ、三三九度の杯を交わしたり、子孫繁栄の願いを込めた里芋の煮物やタイの刺し身、米粉で作った粢(しとぎ)餅の3種類の膳を食べさせ合った。
 儀式の途中、「ススメ」役の三木正嗣さん(62)、村田直敏さん(66)が顔を白塗りにしたり、鳥の格好をしたりした姿で乱入し、騒いだり、ちゃかしたりしながら盛り上げた。最後はきねや酒をむしろに入れて納戸へ運ぶ施主のお尻を「ススメ」が大きな枝で突っついたりしながら押し入れ、見物人の笑いを誘っていた。

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