台風復興へ金太郎デザイン 寄付金付き年賀状販売

年賀状の購入を呼び掛ける飯山滋会長(中央)ら南足柄市観光協会のメンバー=同市役所

 台風19号で被害を受けた神奈川県南足柄市の復興に役立てようと、市観光協会は11月1日、寄付金付き年賀はがきの販売をスタートさせる。収益のすべてを市に寄付し、道路や家屋など生活基盤の復旧に充てる仕組み。はがきには市公認キャラクター「よいしょの金太郎」が描かれており、数多くの伝説が残る力持ちが被災した郷土の再生に向けて一役買う格好だ。

 年賀状が市外に配達されることで、「金太郎のふるさと・南足柄」をアピールしようと企画。収益は当初、案内看板の整備など観光振興に充てる計画だった。しかし、今月の台風19号で「観光資源が壊滅的打撃を受けた」(同協会)ことから急きょ用途を変更。売り上げを地元の復旧支援に充てることを決めた。300セット計約1万5千枚を販売し、約15万円の寄付が目標だ。

 市によると、市内に9カ所あるハイキングコースのうち8カ所が土砂崩れや倒木で通行止めを余儀なくされ、金太郎が産湯に漬かったとされる観光名所「夕日の滝」も流木で埋まっている状態という。

 同市矢倉沢と箱根町仙石原を結ぶ県道として整備中の「南箱道路」(全長約10.9キロ)も、崩落などの被害が多発。市は「夕日の滝に通じるハイキングコースの一部は来春までに通れるようにしたいが、秋の紅葉シーズンは間に合いそうもない」としており、復旧の見通しは立っていない。

 よいしょの金太郎は「よいしょ君」の通称で親しまれるご当地キャラクターで、2009年の公募で誕生した。年賀状の図柄は、発案者でデザイナーの井上・ヒサトさん(横浜市)が新たに6種類を制作。もちをついたり熊と相撲をとったりする姿をかわいらしく描いている。

 注文は市商工観光課内にある同協会で受け付け、専門業者が送り主の住所や氏名、あいさつ文を印刷する。最低10枚から受け付け、料金は枚数によって異なる。年賀はがき代(1枚63円)は別途。同協会は「南足柄も被害が出ているので、復興に役立てるよう力を貸してほしい」と購入を呼び掛けている。

 販売は12月25日まで。問い合わせは、同協会電話0465(74)2111。

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