日韓友好へ「対馬宣言」 朝鮮通信使登録2年 両国有志が発表 「誠信交隣」の精神、葛藤と反目解消

日韓関係の好転を願い「対馬宣言」を発表した(左から)姜氏、南氏、松原氏、仲尾氏=対馬市交流センター

 日韓関係が悪化している中、江戸時代の両国間の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」が「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されて2周年を迎えた30日、登録に尽力した日韓の有志4人が対馬市で善隣友好を呼び掛ける「対馬宣言」を発表した。

 4人は登録に向けて活動した日本側の元推進部会長・松原一征氏(74)=対馬市在住=と元日本学術委員長・仲尾宏氏(83)、韓国側の元推進委共同委員長・南松祐(ナムソンウ)氏(66)と元韓国学術委員長の姜南周(カンナムジュ)氏(80)。
 対馬市交流センターであった宣言式には日韓の市民約100人が出席。松原氏と南氏が「このような時こそ両国の人々が活発に往来し、『誠信交隣(せいしんこうりん)』の精神を実践することが重要。その積み重ねが、根強く残る両国間の政治的葛藤と反目を解消する」とそれぞれ宣言。4人が署名した。
 松原氏は有志4人を代表してあいさつし「日韓首脳会談が開かれた今が関係好転に向かうチャンス。平和的精神を呼び戻し、お互いを信頼し、協調しながら、ともに未来に向けて進んでいこう」と述べた。
 朝鮮通信使は室町時代から江戸時代にかけ、朝鮮から日本へ派遣された外交使節団。豊臣秀吉の朝鮮出兵で断絶したが、対馬藩が朝鮮王朝と江戸幕府の関係修復に奔走し、江戸時代は1607年から1811年まで計12回送られ、200年以上にわたる両国間の平和構築と文化交流に貢献した。
 「朝鮮通信使に関する記録」は日韓の民間団体が2016年、両国に残る江戸期の関連資料333点をユネスコに共同申請し、17年10月30日に登録された。

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