年の差婚、「40代前半男性」と「20代後半女性」の組み合わせは全体の0.7%

意外に感じるかもしれませんが、日本の少子化に関しては、夫婦の間の子どもの数の減少による影響が小さいのです。そもそも論として、カップルが大きく減少したことによって少子化が加速したということが、ようやく過疎化に苦しむ地方を中心に認識されるようになってきました。

地元企業を支える地域金融機関では、その経営戦略に「顧客企業の後継者を絶やさないための結婚応援」を組み入れるところが増えてきています。地元銀行の貸付先の優良企業が「孫が生まれないから」ではなく、「跡取りが結婚さえしていないから」後継者難で黒字倒産する、というリスクが高まってきているのです。

しかし、肝心の後継者やその親の婚活感覚が完全にずれてしまっていると、いくら周囲が一生懸命に結婚応援しても成婚には至りません。

筆者は全国の地域結婚支援センターに出向いて正確なデータの普及に努めていますが、ほぼ全部のセンターから「男性の結婚可能な相手の年齢の認識が大きくずれている」という悩みをうかがいます。

例えば、「おたくの相談所には、そもそも子どもが生める20代の女は登録しているのかね?」と問い合わせてくる50代男性がいます。そして、彼と感覚の似た男性が少なからず「結婚相手を探して欲しい」と依頼してくるという悩みを打ち明けられます。

そこで今回は、2017年に提出された婚姻届全件をもとに、超リアルな「初婚男女の成婚年齢の組み合わせ(発生状況)」をお伝えしたいと思います。


組み合わせ1位は「20代後半同士」

年齢不詳の男女を除いた2017年における初婚同士の成婚は35万156組でした。そのうちの28%、約9万8千組が20代後半同士の男女の結婚です。しかも、2位の30代前半同士の男女の結婚(11%)の2.4倍にものぼる圧倒的な多さです。

この結果から、「今の日本において、最も成婚しやすい初婚男女の組み合わせは、20代後半同士である」とはっきり断言することが出来ると思います。

2位の30代前半男女同士と、3位の30代前半男性と20代後半女性の組み合わせは、ほぼ同じとみてよい約1割という発生状況です。

上位5位までの23万1,488カップルをみると、すべてがアラサーまでの男女ではあるものの、そのうち20代後半の女性が占める割合が83%、20代後半の男性が占める割合が67%で、男女とも30代前半男女の割合を大きく上回り、20代後半の成婚発生確率がいかに高いかがわかります。

ちなみに、上位10位までの30万件、全体の85%のカップルに40代男女は「ともに」出てきません。これを「40代女性だけ結婚が難しくなる」と読み間違える男性やその親族が令和時代の今となっても少なくないため、初婚を目指す男性とその親族はとくに要注意です。

50代男女は98%の発生確率に食い込めない

次に、1,000組以上の成婚が発生した26位までの組み合わせを見てみたいと思います。ちなみに1,000組成婚と聞くと「結構、結婚しているではないか!!」と思う読者ももしかするといるかもしれません。ですが、2017年の約36万件の成婚数全体に占める割合としては、わずか0.3%という発生レベルの低さであること、つまり発生しにくい組み合わせであることが統計的には読み取れます。

この1,000組以上発生している組み合わせの26位までで、既に年間成婚全体の97.6%を占める、という結果となります。27位以降の残りの8,616組(全体の2%)の組み合わせも、統計的に見て発生確率を議論するにはいたらないほど少ない、という結果です。

こういう数字を見ると、「でも、1,000組なんて凄い数じゃない? うちだってその1,000組に入るかもしれないわね」という結婚希望者やその親族が登場します。

繰り返しになりますが、そういう見方ではなく、統計的に「~かもしれないわね」議論をする場合は、「35万超のカップルのうちのわずか1,000組にとどまったので、これはなかなか難しい戦いだね」という見方になります。

ある事象が起きるかどうかを考えるとき、「俺の周りに2人いる」「私の親戚に沢山いる」「会社で3人いた」という実数発想ではなく、その事象の全体数からみた発生確率を考えることが必須です。

わかりやすく例えるなら、村民が10人の村で交通事故が月間5件起きるのと、町民1万人の町で交通事故が5件起きるのとでは、どちらが「私は交通事故に巻き込まれやすいか」という視点で見ると、発生確率は全く違ってきます。発生件数だけからでは、そのイベントに自分が当たるか当たらないかは語れないのです。

上の図表をみると、上位26位までの35万組・約98%のカップルの内訳にも、50代男女は含まれていません。女性の場合、こういった結果に、「それはそうでしょう……」と思う方が一般的である一方、なぜか男性は「そんなことはないはずだ」と思っているかのようなお問い合わせが多いことに結婚支援者は悩まされます。

ちなみに上の組み合わせ表では、男女の年齢が同じ年齢ゾーンの成婚の場合、男女どちらが年上かは不明です。しかし、明らかに女性が上であることが明確な「年齢ゾーンも女性の方が上である」という組み合わせ(○の合計)が26位以内に11%存在していました。詳しい年齢差については、また別の機会に紹介したいと思います。

「自由な時代」だからこそ不自由なカップリング

私の父母の時代はお見合い結婚が当たり前でした。結婚なんかしたくない、という男女には受難の時代だったと思います。しかし、今は「してもしなくてもあなたの自由」な時代です。

これは「したくない人」にも「したい人」にも平等によき時代となったのか、というと、実は社会の仕組み的にはそうではありません。むしろ、したい人にとっては「ご自由にどうぞ」と周りがお見合いの手を引いた中で、親にどうしたらいいか解を求めても、親は「上司の紹介で」「親の勧めで」「親戚がもってきた話で」と、「どうぞご自由に」な時代にはあまりあてになりません。個人の「自力解決力」が強く求められる結婚希望者受難の時代になった、という見方さえもできます。

そんな中で、過疎や後継者難に悩む地方から、地域の結婚応援の仕組みづくりの声が次々とあがってきています。「結婚難民かもしれない」そう感じたら、一人で自力解決しようと苦しまず、周りに助けを求めるのも非常に有効な考え方の1つであると思います。

しかしその時に、支援する人・される人、どちらもですが、発生確率の知識のなさから自分の無茶な意見や希望を堂々と相手に押し付けることなどないよう、まずは「令和モード」にスイッチを切り替える学びの努力をして欲しいと思います。

【参考】ランキング圏外を含めたデータ
40代男性と20代女性/3659件で1.0%
50代男性と20代女性/199件で全成婚の0.06%

これはあくまでも「婚活に成功した方」の中での確率です。婚活するも成功していない方を除いてもこの確率となります。(2017年成婚:筆者調べ)

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