土砂崩れなど、噴煙地にも台風の爪痕 大涌谷園地を公開

台風の影響で土砂崩れが生じた噴煙地=31日午前9時半ごろ、箱根町

 箱根町は31日、箱根山(同町)の噴火警戒レベル引き上げに伴い立ち入りが規制されている大涌谷園地を報道陣に公開した。町内に大きな爪痕を残した台風19号の影響で、噴煙地の斜面で約200メートルにわたり土砂崩れが生じた様子などが確認できた。

 午前の数時間で立ち入ることができたのは、箱根ロープウェイの大涌谷駅舎や土産物店などがあるエリアで、自然研究路の入り口手前まで。霧が掛かった山あいに噴煙や硫黄の臭いが立ち込め、体に感じるような地震はなかった。

 噴煙地では、台風19号で被害を受けた温泉供給設備などが点在。土砂崩れなどの影響で強羅や仙石原エリアへの温泉供給が寸断されており、関係者が作業に当たっている様子が見られた。園地では、自然研究路内のガス検知器のケーブルが破損するといった被害も出ているという。

 園地は5月にレベルが2(火口周辺規制)へ引き上げられてから立ち入りが規制されている。10月7日にレベル1(活火山であることに留意)に引き下げられ、同16日には再開日を決める箱根山火山防災協議会の開催が予定されていた。しかし、台風の影響で延期になり、開催日は未定のままだ。

 ただ、すでに観光客の避難誘導訓練を実施して安全対策を講じているほか、周遊ルート確保に向けて箱根ロープウェイも全線で運行を再開している。町は「協議会が開かれ、いつでも再開できるよう準備を進めている」としている。

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