「憲法と両立し得ず」 元法制局長官、安保法訴訟で証言

横浜地裁

 安全保障関連法は違憲として、県民ら422人が国に対し、安保関連法による集団的自衛権の行使差し止めと1人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が31日、横浜地裁(関口剛弘裁判長)であった。この日は証人尋問が行われ、宮崎礼壹元内閣法制局長官は「安保関連法、特に集団的自衛権はいかなるときにでも憲法とは両立し得ない」と証言した。

 原告側弁護団によると、同様の訴訟は全国で25件起こされており、証人尋問が行われるのは6月の前橋地裁に続いて2件目となる。

 宮崎元長官は安保関連法について、日本を攻撃する意思がない国に対しても攻撃できることから、他国の防衛ではなく武力介入になってしまうと主張。「自衛隊はわが国への攻撃が切迫している段階でも攻撃できないのに、他国を助けるためなら攻撃できるという逆転した状態になっている」とも述べた。

 学習院大学法科大学院の青井未帆教授(憲法学)は安保関連法が成立した経緯について「憲法9条に基づいた一貫性のあるプロジェクトを力業で変えてしまったことが確認できる」と指摘。「集団的自衛権の行使は憲法改正が必要と言われてきた。今回は政府解釈の変更などではなく、論理の破壊だ」と批判した。

 訴えによると、原告側が差し止めを求めたのは、安保関連法に基づく自衛隊の防衛出動や後方支援活動、国連平和維持活動(PKO)時の駆け付け警護など4点。一連の活動を規定した安保関連法の制定で、日本が戦争当事国となる可能性が高まり、原告住民らの平和裏に暮らす権利が侵害されたとしている。

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