長崎市、中期財政見通しで一時赤字 新市庁舎、MICEなど

 長崎市は10月31日、2020~24年度の一般会計の中期財政の見通しを示した。新市庁舎建設やMICE(コンベンション)施設整備などの大型事業と連動して歳出が大きく増え、収支が19~21年度に一時的に赤字となる見通しで、財政運営に充てる基金を取り崩して収支不足に対応する。
 市財政課によると、歳入から歳出を引いた収支は、19年度がマイナス2億円、20年度が同11億円、21年度が同20億円の見込み。収支不足を補うため、18年度末に218億円あった基金は21年度に186億円にまで減るが、24年度には209億円にまで持ち直す。
 歳入では、市税は固定資産税の評価替えなどで一時的に減るものの、地価上昇による固定資産税の増加などで持ち直す見通し。市債の発行は大型事業と連動して増減が予想される。
 歳出では、被爆者の減少による原爆関連経費の減額などで扶助費が減る一方、大型事業の完了に伴って市債の償還が年々増える。市債残高は19年度が2528億円で、ピークの22年度には2713億円に達し、その後は減少に転じる。
 市財政課は「市の財政は豊かではないが、09年度以降は基金に頼らず、基金を積み立ててきた。一時的には収支バランスは崩れるが収支に合った財政運営はできる。長期的には自主財源の確保、借り入れの抑制に努めたい」としている。

© 株式会社長崎新聞社