ラグビーと感染予防

 ラグビー日本代表が懸命の守備で食い止めようとしている強敵は風疹ウイルス-。そんなポスターやリーフレットを厚生労働省が作製し、40~50代の男性に予防接種などを呼び掛けている▲その年代の男性の多くが免疫を持っていないとされ、近年の風疹流行の原因とも考えられている。厚労省は40~57歳の男性を対象に抗体検査とワクチン接種を3年間原則無料にし、本年度は1972年4月2日~79年4月1日生まれに絞り受診券も配布している▲ところが、今年7月までに抗体検査を受けたのは16%、ワクチン接種は14%と、すこぶる反応が鈍い▲そこで、ラグビーファンの中核層の年代が重なることから、ワールドカップ(W杯)開催に合わせ、啓発に一役買ってほしいと日本代表を起用した▲風疹は成人だと子どもより重症化することがあるという。本人もきついわけだが、もし妊娠初期の女性にうつしてしまうと胎児も感染し、心疾患や難聴などの障害を持って生まれるリスクが高くなることが知られている▲啓発ポスターにはラグビー精神を表す「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」の言葉もある。1人はみんなのために、みんなは1人のために。W杯はきょう決勝を行い閉幕するが、感染予防対策にも通じるスローガンとして覚えておきたい。(久)

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