英語民間試験見送り 「情報に振り回された」「時間が無駄に」 長崎県内高校生ら戸惑い

 大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入見送りが決まった1日、準備を進めてきた長崎県内の高校生や教育現場、利用予定だった大学側からは戸惑いの声や要望が相次いだ。
 「今までの勉強は何だったんだろう。大学調べを含めて時間が無駄になったのかな」。県立長崎北高2年の西田汐里さん(17)は残念そうに肩を落とした。県立対馬高2年の扇巧実さん(17)も「先生も生徒もてんやわんやしていた。1年生の時から対策の授業を受けてきたのに」と驚きを隠せない様子だった。
 一方、離島から本土に渡って試験を受ける場合、宿泊費や試験料を含めて1人5万円以上の負担を見込んでいたという離島地区の高校の進路指導担当者は「ほっとした」と安どしつつも「今後の具体的な対応策は示されておらず、教育現場としては宙づりにされたような気分だ」と途方に暮れる。別の離島地区の教諭も「今後導入されるとしても、都市部と同じように試験会場が設けられるわけではない。経済的にも時間的にも、都市部の生徒と格差が出る」とし、導入に向け公平公正な制度を求めた。
 文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され、英語教育に力を入れている県立長崎東高は受験に必要な「共通ID」の申請書を送付済み。「受験生は情報に振り回されてきた。生徒への影響は大きい」と戸惑う。2年生全員が英検を受ける予定だった純心女子高は「保護者へ理解を求め、予約金3千円を既に支払った。試行錯誤をしているのは分かるが、急な変更は困る。来年度の入試がどうなるか、一日も早く確定させてほしい」。県立上五島高は「会場や時期に関して、曖昧な部分があり不安だった」とし、費用面だけでなく船の欠航なども考慮してもらえるのか、今後の方針を注視する。
 県内では県立大、長崎大など八つの大学、短大が民間試験を利用予定だった。一般入試の出願要件に活用し、共通テストの外国語に加点する予定だった県立大は今後について「文科省からの正式な通達はまだない。慎重に検討し、受験生が不利益を被らないよう、早めに情報提供しないといけない」と困惑した。

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