スーパーGT:2019年最終戦もてぎ、公式練習はMOTUL GT-R最速。KeePer、WAKO’Sとレクサス続く

 スーパーGT2019年シーズンのタイトル決定戦となる第8戦が、11月2日に栃木県のツインリンクもてぎで開幕した。2019年シーズンレギュラー戦では最後となる公式練習は、GT500クラス逆転王座に向け予選ポールポジションが必須のMOTUL AUTECH GT-Rが幸先良くトップタイムをマーク。GT300クラスでは選手権首位で圧倒的優位を築くARTA NSX GT3が最速タイムを記録した。

 スーパーGTカレンダー伝統のシリーズ最終戦の舞台、ツインリンクもてぎ周辺は金曜搬入日から穏やかな快晴が続き、開幕土曜も早朝は放射冷却の影響からか、気温が1桁台まで下がったものの、雨の心配はなし。セッション開始定刻の8時50分時点で気温14度、路面温度20度、湿度43%という絶好の“トラックデー”となった。

 午後の予選、そして明日の決勝に向け開幕戦以来のほぼ全車ノーウエイト勝負となる最終戦は、豪雨の影響で消化不良となった開幕岡山とは異なり、初のドライバトルに向け持ち込みタイヤ、マシンセットの確認を進める大事なセッションとなった。

 開始10分、9時を回った時点でGT500クラスは各陣営とも1台ずつ先行して周回を重ねるマシンがあり、ホンダ陣営のKEIHIN NSX-GT、塚越広大が1分38秒236を記録し、以下ニッサン陣営のカルソニック IMPUL GT-R、レクサス陣営のWedsSport ADVAN LC500が続いていく。

 一方、GT300クラスもほぼ全車が順調に走行を重ね、タイトルに向け絶対的な優位に立つARTA NSX GT3の福住仁嶺が1分46秒887で一番時計と、セッションを引っ張る盤石の滑り出しを見せる。

 GT500クラスでもポイントリーダーのWAKO’S 4CR LC500に対し、7点差で同じレクサス陣営決戦に挑むKeePer TOM’S LC500の平川亮、そして数字上はタイトルの可能性を残すものの、王座には予選ポールポジションが絶対条件のMOTUL GT-Rともに、1分37秒台で上位に上がってくる。

 その動きを受けてか、セッション20分が経過したところでWAKO’S LC500の山下健太も1分37秒077までタイムを縮め、2台をけん制するかのようなタイムで首位に浮上する。

 同じ頃、GT300クラスではタイトル対抗馬となるK-tunes RC F GT3が1分47秒台を切り4番手へ。さらに、逆転タイトルには予選最上位が必須のグッドスマイル 初音ミク AMGの片岡龍也が5番手、同条件のリアライズ 日産自動車大学校 GT-R、平峰一貴が6番手と、1分47秒フラットで並んできた。

 GT500クラスが“クラス1+α規定”に移行する2020年にはGRスープラヘのスイッチが決まっているレクサス勢にとっては、使用しているLC500、そしてレクサスブランドとしてもタイトル獲得のラストチャンスでもあるだけに、WAKO’S LC500、KeePer LC500ともにお互いを強く意識してのセッションに。

 9時20分時点で首位WAKO’S LC500、2番手KeePer LC500のタイム差は0.001秒とまさに一騎打ちの様相を呈し、直後にはWAKO’S LC500がさらにタイムを縮めて0.030秒差に突き放すけん制合戦が続いていく。

 セッション中盤の50分を経過する頃には、両クラスで首位に立つポイントリーダーはともにドライバー交代を終え、WAKO’S LC500は大嶋和也が、ショートランを繰り返す。2番手KeePerに続き、同じくTOM’S陣営のau TOM’S LC500もセッション序盤のタイムで3番手につけるなど、レクサス陣営が盤石の仕上がりを見せ、4番手MOTUL GT-Rにとっては午後の予選に向け大きな重圧がのし掛かる。

 その同じ頃、GT300クラスでも予選ポール獲得に向けセッションを進めるリアライズGT-RがV字コーナーを過ぎたところでスローダウンしストップ。幸い、コース上で再始動してそのままピットへと自走で戻ったものの、不安を感じさせる一幕となった。

 10時15分のGT300クラス専有走行を5分後に控えた時点で、同クラスはARTA NSX GT3を先頭にマネパ ランボルギーニ GT3、LEON PYRAMID AMG、HOPPY 86 MC、リアライズGT-Rのトップ5に。ランキング2位のK-tunes RC Fは8番手、初音ミク AMGは10番手という不安なポジションで混走時間を終えることとなった。

 そのまま各車予選シミュレーションへと突入したGT300クラス10分間の専有枠は、アールキューズ AMG GT3が最終コーナーでスピンしレコードラインをふさいでしまう場面があったもののアクシデントは回避。各車アタックを繰り返すも上位勢の自己ベスト更新はなく、そのままARTA NSX GT3が王座へ近づくトップタイムを堅持した。

 GT500専有走行開始の10時25分を過ぎてHitotsuyama Audi R8 LMSがコースサイドにマシンを止めるも、そのままセッションは続行されMOTUL GT-RとCRAFTSPORT MOTUL GT-Rのミシュランタイヤ装着のGT-R勢が早々にコースインしていく。

 残り6分を切るとレクサス陣営も続々トラックへと向かい、ブリヂストン装着のNSX-GT勢もウォームアップを進めると、まずはKEIHIN NSXが1分37秒068で2番手へ。

 しかしそれを上回る勢いを見せたのがMOTUL GT-Rの松田で、全セクターでベストを更新しながらコントロールラインをくぐると、1分36秒296を記録。自己ベスト更新で追いすがったKeePer LC500のニック・キャシディに0.474秒の大差をつける最速タイムをマークしてみせた。

 3番手には1分37秒004まで詰めたWAKO’S LC500の大嶋和也が続き、ランキング上位勢が“逆トップ3”を形成。MOTUL GT-Rを走らせるニスモ陣営にとっては、逆転戴冠に向け必須の予選ポール奪取に向け、好発進を切ったセッションとなった。

 このあとも引き続き快晴予報のツインリンクもてぎでは、14時からノックアウト方式での公式予選セッションが行われる。

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