自転車スマホの危険性をVRで体験 死亡事故後、啓発活動

自転車ながらスマホを体験する来場者=川崎市中原区、2019年11月2日午前11時55分ごろ撮影

 スマートフォンを見ながらの自転車運転をバーチャルリアリティー(VR)で疑似体験するイベントが2日、川崎市中原区の等々力緑地フロンパーク横の児童遊園で開かれた。交通事故や犯罪防止を啓発する「安全・安心フェア」(市などの主催)の一環。来場者は「自転車ながらスマホ」の危険性を実感していた。

 会場の一角、大手携帯電話会社「KDDI」のブースで行われた。

 同市麻生区では2017年12月、スマホと飲み物を持ちながら電動自転車を運転していた20歳の女子大学生と、女性=当時(77)=が衝突。女性が2日後に死亡する事故が起きた。

 事故後、同社ではスマホや携帯電話を見ながらの自転車運転の危険性を訴えようとの機運が高まり、1年ほど前から各地で啓発イベントを開催しているという。

 参加者は、両手にスマホとブレーキ用のリモコンを用意。専用のゴーグルを掛け、スマホを見ながらの運転と、スマホを使わない場合の運転を、映像で比較体験した。映像の中の歩行者と衝突しそうになると付属のリモコンでブレーキをかけ、ブレーキ反応速度の違いを確認した。

 映像の最後には、登場していた歩行者の持ち物を問う場面もあり、スマホを見ながらの運転は、いかに周囲への注意力が低下するかを認識した。

 ながらスマホを体験した主婦片山恵子さん=同市幸区=は「自動車運転中に高校生がスマホを見ながら自転車運転する姿を見かける。高校生などにも体験してほしい」と話した。他の参加者からも「実際に運転している感じがして分かりやすかった」との声が挙がった。

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