「被爆者の気持ち無視」 核廃絶決議 記述後退に怒り

 日本政府が国連総会第1委員会(軍縮)に提出した核兵器廃絶決議案で、核兵器の非人道性を巡る表現が昨年までの記述より後退したことに、長崎の被爆者からは2日、「被爆者の気持ちを完全に無視している」などと怒りと悲しみの声が上がった。
 「長崎の証言の会」の森口貢事務局長(83)は「今までの決議案とは全く別物。トランプ米大統領に対する日本政府のおべっかが表れている」と指摘。「核兵器の非人道性を理解していないから、日本政府はこんな決議案を平気で出せるんだ」と憤った。
 「長崎原爆青年乙女の会」の小峰秀孝代表(78)は「私たち被爆者の核廃絶を願う気持ちを完全に無視している。(核保有国と非保有国の)橋渡しに努めるというが、どれだけの実績を上げているというのか。本気で核廃絶をする気があるのか。怒りよりも悲しい」と批判した。
 長崎原爆遺族会顧問の下平作江さん(84)は「このままでは核兵器を使う世の中になる」と懸念。日本政府に対し「文言を元に戻して厳格にし、いつまでも世界に核廃絶を訴え続けてほしい」と要望した。

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