何でヘビメタなの? 滋賀県長浜市が一風変わった職員応募動画をアップ 真意を聞いてみました

CD『Bright Burning Shout』より

滋賀県長浜市は市役所の職員の採用試験の受験者数を増やすために、ヘビメタ動画をYouTubeにUPするという異例のプロモーションを10月31日に開始しました。

SNSで拡散される等、話題になっています。公務員の募集では史上初の試みです。起死回生を狙う長浜市のチャレンジ精神の熱さが伝わってきます。

長浜市の職員の採用試験受験者は年々減少し、今年は75人だったそうです。そこで、人事課の職員を中心に市役所の若手職員が集まって、課の壁を超えて、長浜市の職員採用PR動画を作るチームが結成されたそうです。作曲と歌、ギター演奏、動画編集を担当したのは長浜市地域医療課の上野賢治さん。5月にむし歯予防ソングを「お茶でバイバイ! ムシバイキン」(https://youtu.be/jKLRh1tgu7w)を作って大好評だったことでチームに誘われ、8月に楽曲を作り、キャッチコピーや動画を作り、10月31日に公開となりました。

制作者の上野さんに電凸してみました。

――なぜヘビメタなのでしょうか。ヘビメタ全盛期の時のファン層は中途入社の年齢になっていますが。

「新卒にこだわらずにも社会人経験者も募集しています。ただ、長浜市のことを知って頂くための動画という位置づけです。たくさんの方に聴いていただければと思います。今ですと、メタルの影響下にある若手のアーティストさんは、たくさんおられるかと思います。メタルの要素が入った曲がたくさんヒットしているのを聴いています。へヴィメタル自体はなかなか皆さんに受け入れて頂けないかもしれませんが、『曲の中のポップの要素の響きがいいな』という風に思っています」(上野さん)

――報道よりも先に、著者の知人のメタルマニアからYouTubeがメールされてきましたので、拡散性という意味でも成功の作戦かもしれません。曲はBABY METALを意識なさっているのでしょうか。

「BABY METALも聴いていますが、今回の曲は『ヤバいTシャツ屋さん』も参考にさせていただきました。『NHKフレッシャーズキャンペーン2018』に楽曲提供されていらっしゃいましたので。メタルにもポップな要素を入れることを意識をしています」

――滋賀県は西川貴教さん、ラルクアンシエルのギターのKENさん、GACKTさん等著名なロックミュージシャンを輩出していますが、影響受けた方はいらっしゃるのでしょうか。

「音楽を通して、地元の滋賀を盛り上げていらっしゃるので西川貴教さんに憧れています。敬意を持っています」

2009年から滋賀県で「イナズマロックフェス」を開催したり、「滋賀ふるさと観光大使」を西川貴教さんは務めています。

――影響受けたアーティスト、好きなアーティストは

「X JAPAN、ギタリストではMUCCのミヤさんですね。今は個人で趣味で家で弾いています。若い頃はバンドをやっていました」

今のところ、SNSの拡散、取材申し込みという反響が出ているようです。形式的な対応ばかりする公務員の電凸取材ばかりの中、柔軟性を持って個性を活かして健気な方を取材すると癒されます。来年の応募はどのくらい増えるのか楽しみですね。(文◎野島茂朗)

※タイトル画像は西川貴教『Bright Burning Shout』より

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